2010年02月07日

刑事コロンボ 3話「構想の死角」

刑事コロンボ「構想の死角」
Murder by the Book / 1971[第1シーズン 3話]

カメラワークやライティングがスピルバーグ的?


演出が若き日のスピルバーグ監督というのは有名ですね。絵作りという着眼点で見ると、他の作品と大きな違いを感じます。まずは、構図の大胆さです。俳優同士の顔がくっつきそうになる程、近くで会話していたり、女優の横顔のシルエットでその場面を深く印象づけたりしています。全体的に画面が暗めなのも特長だと思います。特に夜のシーンでは、不気味な程に室内を暗くし、手前の人物の影が話し相手に重なって不気味な効果を出しています。

作家ケン・フランクリンの怪


犯人の作家ケン・フランクリン(ジャック・キャシディ)が共著の相棒作家、ジム・フェリスを殺害。動機は、ジムがケンとのコンビ解消を言い出したことにあります。実はケンは小説が全く書けないのです。


これまでに発表した人気小説「メルビル夫人」シリーズは、すべてがジムによる作品だというのです。私はものを創る立場なので、このような生き方は理解し難いですね。それにしてもよく今までコンビが継続したものだと。ケンは、コンビを解消すると、収入源を失うとともに「小説が書けないこと」が世間にばれます。どちらかが死んだ場合に、多額の生命保険が受け取れるようにしていたことも殺害の大きな動機です。

ウソが本当に思えてくる


この事件の背景には「ウソをつき続けていると、そのうち本当になってしまう」という教訓が見えてきました。ケンは主に、インタビューやPRを引き受け、賞賛を浴びているうちに、いつしか「自分が本物の作家である」と思ってしまうようになったのではないでしょうか。

決着の付け方としては「スカっとした切れ味」ではなかった気がします。それでも印象に残る作品のひとつです。コロンボから第二殺人のお粗末さを指摘されたケンは、第一殺人の優れたアイデアも自分によるものであると主張し、ひきかえに罪を認めまました。小説が書けない作家を演じ続けるより、1作でも優れた小説を書く努力をすべきだった。

ちなみに次作の4話「指輪の爪あと」では、明瞭な「コロンボの罠」によりスッキリ解決しています。構想の死角のゲスト俳優ジャック・キャシディは、22話「第三の終章」36話「魔術師の幻想」でも犯人役を演じていて、刑事コロンボシリーズでロバート・カルプと並ぶ最重要人物の一人です。

バーバラ・コルビーは迫真の演技


第二殺人の被害者ラサンカ夫人(バーバラ・コルビー)は迫真の演技でした。この後のコロンボ作品にも、犯行を見破る→恐喝→殺される という人が多く出て来ます。やはり金は人生を豊かにするものと考えてしまうのでしょうね。それが命取りでした。


ケン・フランクリン邸は「スタール邸」


ケン・フランクリン邸は、有名な「スタール邸」で、この他にも「殺人処方箋」ジョーン・ハドソン邸「アリバイのダイヤル」のエリック・ワーグナー邸としても登場します。
→刑事コロンボマップ:スタール邸

刑事コロンボマップ


その他にもネットで調べましたら「構想の死角」のロケ現場らしき場所のヒントがありました。英語のサイトを参照していますので、真偽ははかりかねますが…。
→刑事コロンボマップ:ケン・フランクリンの湖の別荘
→刑事コロンボマップ:ケンとジムの事務所
 
 
監督:スティーブン・スピルバーグ
脚本:スティーブン・ボチコ

ケン・フランクリン:ジャック・キャシディ
リリー・ラ・サンカ:バーバラ・コルビー
ジム・フェリス:マーティン・ミルナー
妻ジョアンナ:ローズマリー・フォーサイス

加筆:2013年10月08日
 
posted by ぼろんこ at 16:28 | Comment(23) | 初期作品(1話〜9話)
この記事へのコメント
こんにちは。放映中のTVが古い作品に移って嬉しいです。すでに何度目かの再見ですが、こちらのページのおかげで、後から色々確認してみたり、楽しみが増えました。
トップページが消えちゃってて、無くなってしまったかと思いました。
Posted by yas at 2013年09月02日 00:39
yasさん、書き込みありがとうございます〜。やはり古い作品が良いですね(笑)「トップページが消えた」理由はサーバー業者の不具合が原因でした。現在は解決しています。
Posted by ぼろんこ at 2013年09月02日 14:56
週末にのんびりコロンボを見るのが至福のときです。
yasさん同様、やはり第1シーズンの70年台の趣きがいいですね。
Posted by ogo at 2013年09月19日 16:26
ogoさん書き込みありがとうございます。「週末にのんびりコロンボ」イイですね〜。コーヒーとビスケットを片手に〜なんてね。素敵な時間です。
Posted by ぼろんこ at 2013年09月24日 16:27
第2の被害者ラサンカさんが強烈ですね。

金ではなく、あくまで作家そのものを欲しがった様。
そして酒瓶で殴られる寸前のあの表情。まさに怪演。

ジャック・キャシディの演技がエレガント風味であっただけに、より際立ってたと思います。
Posted by タップおばさん at 2015年05月31日 12:17
ぽろんこさん 
また書き込ませて頂きます。
スピルバーグの演出、例えば冒頭のケンの車のアップからグーッと引いてジムのオフィス他はもう
あちこちで語られてますから省きますが、
今回の犯人(ケン)は間抜けな感じがします。
例えばコロンボとの初対面でメルヴェル夫人ならとっくに云々と言ってる。小説は特に探偵物は所詮創りものでなので そう簡単には行かないと
いう事を知ってるはずなのに、そんな事を言うなんて自分は一行も書いてない≠ニ暗示してるような感じがします。もしコナンドイルの友人知人が
そうなったら彼は刑事さんにホームズだったらとっくに≠ニ言うのでしょうか?クリスティも
ボアロだったら直ぐに≠ニ横溝正史なら金田一耕介なら目星を、≠ニは言わないと思います。
つまり現実とフィックションは違うという事を知ってるから、この時点でもケンは間が抜けてるような感じがします。あの犯罪者リストのペーパーの折り目もそこでもケンはコロンボにメルヴィル夫人と着眼点が似てると褒めてる。架空の人物と引き合いにしてる。そして本物の推理作家なら用意周到に折り目はなるべく付けない様に丸めてポケットに入れるのではないのかな?
そんな所も滑稽な気がします。だから第2の被害者
ラサンカ夫人の殺人は間が抜けてる感じです。
そのくせプライドだけは高いので最後でコロンボの このトッリックは云々で簡単に堕ちたのでは
ないかと思います。ケン役のジャック・キャシディが上品なだけに見応えもありますね。
Posted by 流星 at 2015年06月20日 21:50
ラサンカさん抜群です。不美人として描かれていて、それを込みの魅力を感じます。
 
ケンはジャック・キャシディの演技によりとても魅力的な人物(間抜けも含め)に見えてきます。
 
スピルバーグの絵作りは流石だと思いますが、コロンボ的には他の作品(もう少し普通な感じ)の方が好みです。
 
Posted by ぼろんこ at 2015年09月30日 12:40
何度も犯人役をやるジャック・キャシディ。存在感ありますね。
殺されたダンナの奥さんは、あまり悲しそうじゃなかった。
泣いてもいないし。最後のキレは、あまり印象にないです。
公判で勝てますかね?。おおいに疑問です。
Posted by トレモニ at 2015年10月31日 19:07
最初、ケン・フランクリンが車で「EXIT ONLY」という出口専用からビルに
入って行った。そもそも、この人には社会常識や遵法精神に欠けることが
分かる。誰も見てなくて分からなければ、悪いことをやっても構わないと
いう感じですね。
Posted by トレモニ at 2015年11月09日 09:28
犯行動機が、よく分かりません。
ジムは、コンビ解消など言いだしていません。
「離婚はないだろう」という一言でも分かります。
動機は、ジムがミステリーを止めて、シリアスなものを書き始めたいということ。
だがミステリー作家が、いきなり宗旨替えしても成功するかどうか分からない。
それに、そもそもケンは、ミステリーも書けない作家もどきではないか。
だったら、世間にはコンビとして宗旨替えしたのだと発表すれば良い。
ケンは、テレビに出たりマスコミ対応に秀でたやり手である。
それが、これまでのコンビとしての成功を形作った要因の一つだった。
ジムの作家能力だけでは、そこまでの成功は無かったとも言える。
だから、コンビ解消はむしろマイナスとなる。
宗旨替えが失敗したとしても、ケンの手練手管は世間を納得させるだけの
問答を可能にするだろう。
Posted by トレモニ at 2015年11月12日 03:21
出演者が電話番号を語るとき、必ず途中で音声を途切れさせていますね。
これは、もし同一の番号があったとして、そちらへ迷惑がかからないように
するためでしょう。どの回も、そうなっています。

通話履歴の問題。
別荘のジムから奥さんへ電話する場面がある。この通話履歴があれば、
一発でケンの犯行だと分かるが、「死者の身代金」と同様で、
この時代において、電話局では通話履歴は取られていなかったと考えるべき。

コロンボは、ケンが別荘から車で帰ってきたことに疑問を持った。
わたし的には、その疑問が疑問だ。
もし飛行機で帰ってきたとしたら、車は現地に置いてこないといけなくなる。
置いてくると、また取りに行かなければならないじゃないか。
飛行機の往復代がもったいないし、ロスで車が無いと不便だろう。
飛行機で帰らなければいけないほどの緊急性も認められない。

コロンボは重要な事情聴取のときに相手が拒んだ場合、必ずと言ってよいほど、
「法廷でしゃべってもらわないといけないことになる」と迫り、全て証言を
引き出している。

ラサンカさんの店でつまみ食い。これって、初つまみ食いかな?。

やはり何度観ても、決定的証拠じゃないです。
置いてあった単なるメモ書が、犯行のトリック?。理解できませんね。
Posted by トレモニ at 2015年11月16日 01:05
ジャック・キャシディ氏は傲慢さが様になる風格がありますね。ぼくは大体吹き替えで見ているのですが田口計さんの声もピッタリです。考えてみれば、相棒の才能で食べていけてるくせに威張っているケンはかなり情けないやつなのですが、それでも不思議とエレガントな印象を随所で受けます。
ぼろんこさんの、唯一自分で考えたすぐれたアイディアを示すと引き換えに罪を認めた、という考察は深いですね。
Posted by すぴっつ at 2015年11月16日 11:05
>トレモ二さん
 はじめまして。ノベライズ版では殺害の動機が詳しく書かれています。
 ケンは裕福な母の財産により大不況の時代のアメリカで恵まれた少年時代を過ごしていました。その母は「古き良きアメリカ上流階級」の出で名家としてのプライドが形となったようなもので、ケンもその一流思考と選民意識を母から受け継いでいました。
 しかし、父がお人よしなため財産を失ない、上流から転落した母は景気を回復しつつあるアメリカの中で自分の財産を失った夫と運命を呪いつつ亡くなり、それはケンに受け継がれました。

 そのような中知り合ったジムは亡き父にそっくりであり、ケンは父の代わりとしてジムをいじめる対象として友人となりました。しかし、ジムには文才があり、ケンにはプロデュースの才能があったことからコンビは大成功し、ジムは自分が信じる一流の世界を取り戻したのです。そしてメルヴィル夫人は自分に再びの一流を取り戻してくれた母の身代わりだったのです。ノべライズの中でもメルヴィル夫人のキャラつくりにはケンは異常こだわったとあります。

 そんななか、母=メルヴィル夫人を葬り自分の作品を書きたいと言い出したジムは自分の一流世界をかつてめちゃくちゃにした父と重なった。
 これが殺人の一番の動機であり、保険金などは後付だというふうになっています。
Posted by バーディ at 2015年11月16日 19:54
みなさん、コメントありがとうございます。ここ数回のコメントを読んで、またこの作品が好きになりました!
 
バーディさん>ノベライズ版の詳しいご説明ありがとうございます。俄然読みたくなりました!やはり文章は画面より詳しく状況を説明できるのですね。
Posted by ぼろんこ at 2015年11月16日 20:58
通話履歴の問題。
よく考えると、通話履歴は電話代請求に必要になりますので、
電話局には必ずあるはずです。
コロンボは一話完結で観るべきで、全体の一貫性や整合性は必要ないと思います。
そうしないと、とんでもない世界観になってしまいますから。
そうは言っても、重要証拠となる通話履歴を扱ったり扱わなかったりで、
おかしいですね。
Posted by トレモニ at 2015年11月16日 23:32
>バーディさん
ご説明ありがとうございます。

その動機は、TVでは毛筋ほども出てきていませんね。
ということは、ノベライズ版とは全く別物と考えるより他ありません。
コロンボにおいては動機が一番大事なのに、その動機を全カットするなんて。
そういう意味では失敗作です。大事な動機をカットして、俗な動機を
紛れ込ますから、なにか煮え切らないおかしなストーリーになると思います。
アリバイは良かったので動機をしっかり表現するか、俗な動機に変える
としても理屈の通るものにすべきでしたね。
Posted by トレモニ at 2015年11月16日 23:46
ノベライズ版が話題になりますが、全く無意味なことだと思います。
原作はTVメディア版であって、それに対して後講釈で「実は・・・」
なんてやって、何の意味がありますか?。
TVメディア版の前に原作があるならまだしもです。
後講釈の動機など、俳優陣が意識して演技していませんよね。
なのでノベライズ版は、TVメディア版とは切り離すべきです。
Posted by トレモニ at 2015年11月21日 21:46
ケン・フランクリンほどのつむじ曲がりが、なぜ最後にアッサリと
犯行を認める気になったのか、まったく理解できない。
コロンボは、チャンス、方法についてメモ書きから類推したに
過ぎず、決定的な証拠にはなり得ない。
そもそも小説で書けるようなトリックを現実の犯行では使いませんよ。
小説は世間へ発表するものですからね。
それを口上にして言い逃れ可能です。
Posted by トレモニ at 2015年12月13日 20:35
初めまして。BSで毎日コロンボが見られる幸せが続いていますね。
この話でどうしても理解できないことがあります。
それは季節感。
ラサンカさんの所にお金とシャンパンを持っていく場面。ラサンカさんは薄手の黄色の半袖のブラウスですが、ケンはムートンコートに分厚い手袋までしています。
また、夜の湖にラサンカさんを誘い出そうとして、「月が綺麗だから泳いでみないか?」なんて言ってますが、
コートを着るような季節なら、そのセリフはおかしいですよね?そんなこと言われたら怪しまれるの当たり前だと思うのですが…
どう思われますか?
Posted by ちはちは at 2016年01月18日 21:42
>>ちはちはさん

さすがです。不自然さを見逃さない、まさにコロンボ流ですね。
ジムの遺体がケンの邸宅前に捨てられていたとき、コロンボは、
「コートが薄くて、なんだか寒くなってきた」と言っています。
明らかに、泳げるような季節ではないですね。
しかも、夜間は寒くなりそうな別荘地ですよね。一方でコロンボが
ケンの別荘へ行った時には「車が陽に照らされると後でたまらない」
と言っているので、真夏のような気もします。
ということは、昼夜の寒暖差が激しいのでしょう。
そうであれば、ラサンカさんの昼間の服装も理解できます。
ラサンカさんが殺された翌朝の現場に集まった人たちの服装は、
暑いとは思えません。朝方は冷えるのでしょう。
夜は、泳ぎたくなるような気温ではないでしょうね。
ラサンカさんはケンに気があるので、提案に対して無下に拒否する
ような言動を避けたのでしょう。ヤンワリと、しかもキッパリと
否定したのだと思います。
Posted by トレモニ at 2016年01月18日 23:13
妻ジョアンナとコロンボの会話。
ジョアンナ:おなかが空かないの。
コロンボ :まあ、つついてみて下さい。
     :美味しくなかったら捨ててもいいから。
遠慮されているのも拘わらず、人さまの家の食材で勝手にオムレツを作って、
あまつさえ、美味しくなかったら捨ててもいいからとは、何たる言い草か!!
Posted by トレモニ at 2016年01月19日 00:19
二度目のコメント失礼します。
『構想の死角』を何回か鑑賞するたびに思うんですが、殺された相棒のジムはかなりのお人好しですね。ケンに別荘に行こうと誘われた時も「(奥さんに)嘘をつくのは気が引けるよ」と渋っていますし、そもそもシリーズを打ち切ると言い出すまで長年書いてもいないケンが作者を気取るのを黙認していたのも寛容すぎます。発言の節々から、素朴で商売ごとが得意でない人なんだなあ、と。そんなところをケンに付け込まれていたのかもしれません。
もうひとつ気になるのは、ケンは推理作家としては無能でも、これだけ口が達者なのだから別のビジネスでも成功できたのでは?マネジャーだと公表して仕事をしても良かっただろうし。お金以上にベストセラー作家としての名声に執着があった、ということでしょうか。
Posted by すぴっつ at 2016年06月14日 17:46
善人と悪人の対比が面白いですね。暗いシーンが多く、悪の印象が際立っています。
Posted by ぼろんこ at 2017年10月06日 09:31
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

コメント: [必須入力]

どうぞ悪戯の書き込みはお控えください。
私の大切なものを壊さないでください。あなたにも、私にも大切なものがあるのです。
I ask foreigners.
Please do not write a comment. Please do not break my important thing.
I think that you can understand. I appreciate your self-control.

筆者ぼろんこが1970年代にNHKの総合テレビで刑事コロンボに出会った頃は小学生でした。それから30数年後の2009年にNHK BSで再会した時、その素晴らしさにあらためて感銘し、自分なりの解釈をブログに書きためるようになったのでした。