2010年01月03日

刑事コロンボ 15話「溶ける糸」

刑事コロンボ「溶ける糸」
A Stitch in Crime / 1973[第7シーズン 15話]

ご存知、スタートレックのMr.スポックの登場


心臓外科医のバリー・メイフィールド(レナード・ニモイ)が看護婦で手術助手のシャロンを殺害。私にとっては‥かの有名な「Mr.スポック」の登場ということで、全コロンボ作品の中で最も記憶に深く刻まれた作品でした。

日本語吹替版


吹き替えがテレビてお馴染みのMr.スポックの声(久松保夫さん)だったらな〜って、欲もありますが。

コロンボシリーズ中「最悪の人物」


私の印象としては「動機不十分」です。がしかし、それを上回るメイフィールドの悪人像は強烈です。自分を信頼してくれている恩師ハイデマン博士を殺害しようと計画。しかし、そのトリックを手術助手のシャロンに見抜かれそうになると一転、シャロンを殺害。この殺害が予期せぬ行動となり、コロンボ警部に矛盾を次々に暴かれてゆきます。そして、そのシャロン殺害をハリー・アレキザンダーなる元麻薬常習者の犯行に見せかけるため、アレキザンダーを殺害するという、凄まじい殺人鬼ぶりです。

「非論理的」って台詞すら出なかったが…冷静沈着なMr.スポック。


その犯行がすべて「沈着冷静で論理的?」に淡々と行われます。スタートレックでのMr.スポックとイメージがダブって、より一層ストーリーを引き締めていますね。しかしその冷静さが、コロンボ警部の目に止まり容疑者と特定され、しかも未遂に終わるハイデマン博士殺害計画の証拠を、博士の体内より引き出させてしまうという…コロンボファンにとっては美味しすぎる展開。そしてラストシーンも、この作品に相応しく「完璧に楽しめる」ものだったと言えるでしょう。

コロンボと犯人の対決を堪能できる作品


この「溶ける糸」では犯人の冷酷な連続殺人に対し、コロンボ警部が心からの怒りをぶちまけ「対決」宣言し、ラストシーンを向かえます。「コロンボ警部」対「頭脳明晰な犯人」という刑事コロンボシリーズの最大の醍醐味が最も良く表現された作品の一つです。この雰囲気(犯行後にも裏付け工作などをする…etc.)を持った作品としては、16話「断たれた音」も大好きです。

その反面、6話「二枚のドガの絵」20話「野望の果て」26話「権力の墓穴」などは、犯人が「少し間抜けで滑稽に感じる」「よせば良いのに…自分から罠にハマって来る」もので、別の意味で楽しめる作品です。

アン・フランシスが好演


殺害された手術助手のシャロン・マーチン役はアン・フランシスで8話「死の方程式」の秘書ビショップ役と同一人物。口元のほくろが印象的なセクシー女優(?)ですが、今回は真面目な人柄の役を演じています。

ゆで卵が大好きなコロンボ警部


余談ですが、このお話の中でコロンボ警部が持参のゆで卵を殺人に使われた凶器で割って食べるシーンは人気が高いと聞きます。実はこれはこの朝「2個目のゆで卵」で、1個目は車のボンネット付近で割って食べています。その後のシーンでメイフィールド医師から「胃薬」をもらいますが、おそらくゆで卵の食べ過ぎが原因ではないでしょうか?

ニタ・タルボットも可愛い


看護師シャロンの友人「マーシャ・ダルトン(演:ニタ・タルボット)」が可愛かったです。コロンボ警部やメイフィールド医師とのやりとりは、微笑を誘いますね。


決め手となった溶ける糸


メイフィールドが「コロンボのポケットで見つかった溶ける糸」に見覚えが無い…としらを切った場合は?という質問コメントを頂き加筆します。

糸には…
ハイデマン博士の血液が付着している。
染色して溶けない糸に見せかけている。

メイフィールド医師がコロンボのポケットに糸を放り入れた…ことは認めなくても、糸の存在が決定的証拠となりそうです。だからメイフィールドは、溶ける糸を処分したかった。その一時的な隠し場所が、コロンボのポケットというわけです。もしハイデマン博士が溶ける糸の影響で死亡すれば検死解剖により、メイフィールド医師が殺害目的に使用したことはバレてしまいます。リスク覚悟で溶ける前に体内から取り出そうと決めたわけです。


監督:ハイ・アヴァーバック
脚本:シリル・ヘンドリックス

バリー・メイフィールド医師:レナード・ニモイ
シャロン・マーチン看護婦:アン・フランシス
ハイデマン博士:ウィル・ギア
マーシャ・ダルトン:ニタ・タルボット
ハリー・アレキザンダー:ジャレッド・マーティン
 
加筆:2015年3月7日 
 
posted by ぼろんこ at 11:49 | Comment(26) | 中期作品(10話〜31話)
この記事へのコメント
お久しぶりです。
というのは、第1回の書き込みの直後に震災が起こったので、ネット類への書き込みをする気になれずにいまして……
またよろしくお願いします。

さてこの「溶ける糸」、面白い結末ですが、ひっかかることが。
これに限らず、コロンボ警部は単独行動が多いですよね、米国の刑事はあれが普通なんでしょうか?
(日本の刑事は(刑事ドラマとかでしか知りませんが笑)2人1組で行動するようですね)
なにがひっかかったかといいますと、
この「糸」の結末、最後の決定的な証拠を発見する瞬間、その現場に彼と犯人しかいませんよ?
犯人が裁判とかで「いやあれは刑事の創作」とか言い出したらどうするんでしょう?
たくさんの目撃者(証人)が必要だと思うんですが……
(「逆転の構図」では「君、見たね?」とくどいように周囲に確認していましたね)

まあ「ミステリーが求めるのは論理の美しさ」って開き直るなら、話が面白けりゃいいんで、手続きとかは2の次3の次かもしれませんが……
Posted by ういぐる at 2011年09月18日 22:56

溶ける糸・・こういう意味でしたか(驚)

あまり病院物は好きじゃないんですが、コロンボもそうでしたね(笑)
ああいう人間臭い所が、やっぱり好きだなあ^^

で、ラストシーンの犯人の冷静さも凄いですが、コロンボの初ギレシーンは、めっちゃ驚きました・・^^;
確かに、冷酷非道ですからね、、あのコロンボの怒りっぷりで、またファンになってしまいましたm(__)m


確かに犯人は、コロンボ史上、最悪の犯人です ((((;゚;Д;゚;))))

で、ゆで卵・・笑 2個目だったんですかァ '`,、'`,、('∀`) '`,、'`,、 
ゆで卵を、ポケットに入れているのも面白いですね^^
Posted by とっしーー at 2014年04月19日 21:57
とっしーーさん、いつも楽しいコメントありがとうございます。コロンボはその回の犯人の職業に関連して、趣味や得手不得手が強調されますね。今回は病院が苦手…でした。これもコロンボのキャラクターが愛される理由ですね〜。
Posted by ぼろんこ at 2014年04月28日 10:36
ういぐるさん、お返事が大変遅くなりました。コメントを見逃しておりました。すみません〜。

二人組で行動…確かにそうですね。コロンボ作品では、クレーマー刑事、ウイルソン刑事などの相棒と組むこともありますが、コロンボ警部の単独捜査の方が多いでしょうか。

この場合の証拠「溶ける糸」は…
ハイデマン博士の血液が付着している。
染色して溶けない糸に見せかけている。

メイフィールド医師がコロンボのポケットに糸を放り入れた…ことは認めなくても、糸の存在が決定的証拠となりそうです。もしハイデマン博士が溶ける糸の影響で死亡すれば検死解剖により、メイフィールド医師が殺害目的に使用したことはバレるので、溶ける前に体内から取り出そうと決めたわけです。

だからメイフィールドは、溶ける糸を処分したかった。その一時的な隠し場所が、コロンボのポケットというわけです。

殺害動機、他の殺人事件の状況証拠も揃っていますので、死んだ助手に罪を押し付けても…逃げ切れないと思います。それにしても証拠の糸は、手術に使ったのに、あんなにクルクルと長いかな?と、疑問を持ちました。
Posted by ぼろんこ at 2014年04月28日 12:30
この作品は、なんつったってコロンボVs.スポックの魅力ですよ。黒スポック(笑)と言っても過言ではない冷徹な男、いやずばりレナード・ニモイにコロンボが「サシ」で対決して勝たなければ「お話」が締まらないのです(あ、言い切っちゃった、笑)。ちなみに私は、小学生の時、一番最初に観た「コロンボ」がこの作品。この一回でコロンボの魅力にとりつかれました。
Posted by 小笠原功雄 at 2014年05月04日 17:57
小笠原さんコメントありがとうございます。一番最初に観た「コロンボ」がこの作品ですか!そりゃ、虜になります。1票追加しておきますね〜。
Posted by ぼろんこ at 2014年05月18日 12:14
続けて投稿させていただきます(^_^)
このエピソードは好きですね。コロンボが白旗を上げかけたところで、最後の1分のどんでん返し。
でも、私がコロンボシリーズで好きなのは、コロンボが犯人に向かって切れる(感情を露わにする)シーンですね。
このエピソードでも、メイフィールドがフフフとコロンボをあざ笑ってると、突然ポット(だったかな?)をデスクに叩きつけて、『私は先生がシャロンさんを殺したと思っている!』と挑戦的なセリフ。
5話に1話くらいですかね〜、コロンボの切れるシーンは。(珍しいから印象に残っていて、実はそんなに多く無いのかもしれませんが)
このコロンボが切れる『ツボ』が何なのかを研究したら楽しいかもしれませんね〜(^_^)
Posted by ひらりん at 2014年07月05日 07:19
ひらりんさんコメントありがとうございます。溶ける糸で激怒するコロンボは大好きです。自己中心的な容疑者に対する怒りと、宣戦布告を兼ねていますね。もっと言えば恐喝かもしれません。とても迫力のあるシーンでした。机を叩く音も効果的でしたね。
Posted by ぼろんこ at 2014年07月15日 22:52
レナード・ニモイの訃報が今朝。SFファンとしての原体験、いや原記憶には幼少時に観た「宇宙大作戦」ミスター・スポックの印象があり、小学生時に観た最初の「コロンボ」の犯人がやはりニモイ、これはもう私をSFとコロンボのファンとして運命づけたのはニモイがバイアス?触媒?となってくれたおかげとしか言いようがない(泣笑)。
Posted by 小笠原功雄 at 2015年02月28日 09:48
>コロンボシリーズ中「最悪の人物」

同意です。

レナード・ニモイさんのご逝去をお悔やみ申し上げます。
Posted by おっさん at 2015年03月04日 00:15
ニモイさんの追悼記事を書きました。
Posted by ぼろんこ at 2015年03月05日 21:47
初めまして。ニモイさん逝去のニュースに接し、ウェブをいろいろ見ていて、ぼろんこさんの記事を発見しました。

「コロンボ」は初放送で見て以来のファンです。自分の好きな作品だけをDVDで揃えていましたが、去年、思い切って全巻のブルーレイBOXを買ってしまいました。製作・放送されて数十年になるのに、いまでも繰り返しの鑑賞に耐えるというのは、いかにこの作品のレベルが高いかを示していると思います。

ぼろんこさんのブログは、充実した内容に感嘆しております。今後「コロンボ」を見る際のお供にさせていただきます。また、私なりのエピソードの評価もありますので、気が向いた時にコメントさせていただこうかなと思っています。

私も自分のブログで、たまに「コロンボ」をネタにすることがあります。PRを兼ねて、「溶ける糸」やニモイ氏について書いたものを紹介させていただきます。
ttp://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2014-11-04
ttp://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2015-03-04
Posted by tempus fugit at 2015年03月06日 12:32
tempus fugitさん、コメントありがとうございます。素敵なブログ!拝見しました。私も刑事コロンボやスター・トレックが大好きでした。子供心にも…やっぱアメリカは凄い…と憧れたものです。これからもコメント、ぜひお寄せください。私も本ブログ、加筆・訂正などで頑張って更新します。
Posted by ぼろんこ at 2015年03月06日 23:04
目的のためには殺人すら厭わない、というかあっさり殺人を決行するあたりは何とも恐ろしい犯人。
これはレナード・ニモイという俳優だからこそ成功したエピソードですね。ニモイ氏にはもう少し長生きして欲しかったと思わずに居られません。

ひとつ気になるのは、ハリーは死んだのかが明確になっていないことです。確か、死んだとは一言も語られていないと思います。
メイフィールドからすれば罪を着せれば済む話で、殺す必要はないはず。
気絶から目覚めたターゲットが、意識が朦朧とする中で外に歩き始め、階段から転落させた上で死ぬ。
これは偶然に頼らなければならない部分が強く、殺害計画としては確実性がありません。

ここだけがわかりませんでした。

あとの部分は、見どころ満載の傑作回だと思います。
Posted by タップおばさん at 2015年05月28日 22:50
偶然に頼らなければならない>私もそう思います。ハリーの場合、決して殺しているわけでなく、結果的に死んだのですからね。
Posted by ぼろんこ at 2015年06月13日 19:05
 ラストシーンが爽快なのとメイフィールド医師の非人間的な冷酷さが結局は目的が果たせないまま報いを受けることもあって好きな話です。
 ラストシーンですがコロンボのポケットから糸が出なくてもメイフィールドは追い詰められていたのではないかと思い当りました。
 
 全てを調べても糸がない。「ハイデマン博士から摘出した糸はどこにやったのですか?」この質問にメイフィールド医師は答えることができないのではないかと思います。
 
Posted by バーディ at 2015年10月30日 23:02
バーディさん>そうなんです。ハイデマン博士を亡き者に…という目的が、途中からすっとんでましたね。1票加算します。
Posted by ぼろんこ at 2015年11月07日 07:55
コロンボの怒りが爆発するところが見所ですね。
犯人が自分の犯行をカモフラージュするために、第二の犯行に及ぶことは、
他のエピソードでもよくあることです。
しかし、大概はその第二の犯行までコロンボは予測できません。
むしろ第二の犯行によって、犯人がボロを出してしまうことが多いです。
ここでは、第二の犯行を確実に予測できたので、罪を憎むコロンボとしては
大きな怒りを爆発させました。コロンボの必死さがよく表れています。
尤も時系列では、第一の犯行とも言えますが。
Posted by トレモニ at 2015年11月08日 16:59
連続殺人、対決の醍醐味、切れ味あるラストと見どころ満載ですね。
何度見ても傑作です。
ぼくは「偶像のレクイエム」、本作、「断たれた音」の3作でどっぷりシリーズにはまりました。
Posted by すぴっつ at 2015年11月15日 10:21
コロンボから依頼され手術の立ち会った医師は、いったい何を監視して
いたのか?。ハイデマン先生の体内から取り出した糸さえ目を光らせて
いれば済む話でしょう。そうすれば、ジタバタする必要はなかった。
役立たずにもほどがある。
また、TVカメラ撮影も併せて行うべきだった。準備不足でしたね。
Posted by トレモニ at 2015年12月22日 07:33
BS-TBSでの再放送を見てからこのブログに巡り合い、以来楽しく拝読しています。
メイフィールド医師の自宅でのパーティーシーンで、おやっと思ったことが...
コロンボが到着する前、医師が招待客たちに挨拶しているシーンで、プールサイドに座った男性達が「...重要?人物の患者でね、残念ながら名前は言えないんだが、宇宙関係の工業?の大物なんだよ」と話しています。
これって、レナード・ニモイに引っ掛けたセリフですよねぇ。
原語で理解するほどの語学力がないので何とも言えませんが、アメリカのドラマだからありうるかな、と思いました。
Posted by Mrs.あらふぃふ at 2016年02月18日 12:02
Mrs.あらふぃふさん「自宅でのパーティーシーン」ですね、興味深いです。もう一度見てみます!
Posted by ぼろんこ at 2016年02月22日 09:17
溶ける糸、偶像のレクイエム、断たれた音にそれぞれ1票追加します。
Posted by ぼろんこ at 2016年02月22日 09:30
二度目のコメントです。
実は『溶ける糸』は推理ひとつひとつに傑出した要素は少なく、たとえばシャロンの死を知らせる電話を受けながらメイフィールドが時計の針を直していたこと、麻薬中毒者の犯行とするには部屋に指紋がないのが不自然なこと、ハリーは左利きなのに左腕に注射痕があったことなど、小粒なものが多いです。
しかし、本作の美点は、特殊なドラマ展開にあります。糸のトリックを解明していく流れももちろんですが、ハイデマン博士を死なせるために犯行を重ねるというイレギュラーな構成、それに伴うメイフィールド医師の強烈な犯人像が本作を傑作に押し上げています。最後、糸を取り出したコロンボに対する表情がまた何とも言えません。弱いと書いた手がかりの数々も、ストーリーに密接に絡んでおり不満に感じさせません。
Posted by すぴっつ at 2016年02月29日 15:14
私もこのエピソードがコロンボの中でも1,2を争うくらい好きです。

冷静沈着で計算高い人物である犯人が、結局最初の目的である犯行を
達成出来ずに右往左往し、コロンボに追い詰められる姿は見ていて痛快でした。

ただ、よくこのエピソードの解説で
「冷静沈着な犯人に対して、コロンボが自分の感情を露わにする。」
というような事が書かれていますが、私はコロンボが「怒り」を表現したのは演技だと思ってます。
ハイデマン先生も認める頭脳明晰で普段は冷静沈着なコロンボが、
敢えて感情的に怒ってる演技をすることによって、糸を取り出さざるえない状況に相手を追い込んでいく。
だからこそ、最後コロンボは(既に自分の使った手である)
「先生が感情的になる筈がない」という事に気が付けたのではないでしょうか。
Posted by ブービー at 2016年04月16日 02:42
なるほど、なるほど、と相槌をしながら読ませていただきました。ありがとうございます。
Posted by ぼろんこ at 2017年10月12日 17:54
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私の大切なものを壊さないでください。あなたにも、私にも大切なものがあるのです。
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I think that you can understand. I appreciate your self-control.

筆者ぼろんこが1970年代にNHKの総合テレビで刑事コロンボに出会った頃は小学生でした。それから30数年後の2009年にNHK BSで再会した時、その素晴らしさにあらためて感銘し、自分なりの解釈をブログに書きためるようになったのでした。