2009年08月04日

刑事コロンボ 42話「美食の報酬」

刑事コロンボ「美食の報酬」
Murder Under Glass / 1978[第7シーズン 42話]

料理評論家のポール・ジェラード氏がレストランのオーナー、ヴィットリオ・ロッシを殺害。テレビ番組やCMでも有名なジェラードが、その名声を利用してレストランの評価を思いのままに操っていることに腹を立てたビットリオの口を封じたのです。

ジェラード はあまり聡明ではない…


犯人のジェラードは(ルイ・ジュールダン)「頭脳明晰」というよりむしろ脳天気ともかんじさせる人物で、切れ味は感じませんでした。ワインによる毒殺が判明した瞬間、ワインオープナーが怪しまれることも当然の成り行きと思えます。


美食の国、日本とイタリアが大きく扱われた作品


初期のコロンボ作品と、新刑事コロンボの中間のようなテイストです。刑事コロンボ作品中、最も「日本」が大きく扱われた作品。「日本」とともに、イタリアンレストランが舞台いということで、イタリアンな雰囲気も全体に漂います。コロンボ警部は食べているシーンが多いですね。

日本人「小津氏」


登場人物の日本人「小津氏」。映画監督の小津安二郎を連想させるし「OZ」と発音され、アメリカ人にも親しみやすかったのでしょう。襟には「福壽」と書かれています。俳優のマコ岩松氏。この時、ふぐ刺しを食べるコロンボの箸使いは、下手で笑えます。

あなたの才能は素晴らしいが、後はてんでイケません


ラストシーンは、なかなか印象的でした。ジェラードはコロンボ警部の「誘い」にのる形で「いっそのこと、コロンボを殺してしまえ」と第二殺人計画を思い立ちます。それが、コロンボの狙いでもあっただけに悔しさもひとしおだったでしょう。この後のコロンボの台詞「証拠ってのは、こういうヤツを言うんです」と、ジェラードの仕掛けた毒入りのワイングラスを指差すあたり、爽快です。一連の会話の中で「お互いの才能を評価する」反面、人間としては好きでない、という言葉の応酬があります。ジェラードの方は腹いせ的ですがコロンボ警部の「あなたの才能は素晴らしいが、後はてんでイケません」の台詞は、殺人という短絡的な解決方法に走った犯人に対し「人間失格」の判決を下す裁判官のように見えました。

後のコロンボの「カミさん」シェラ・デニスが再登場


ジェラード氏の秘書イブ・プルマー役で、シェラ・デニスが出演しています。新シリーズと比較するとやはり若いですね〜。吹き替えの声優も「若い女性風」の声で、後に新刑事コロンボに数多く登場する際の声とは異なります。

ジェラード氏の自宅で小津氏と同席するシーン、松竹梅と書かれた派手なオレンジ色のハッピを着ているのはこっけい。

不思議なキャラクターのバーク刑事


コロンボ警部は初対面の2分後に、犯人はジェラード氏であると疑ったと名言していますが、この時居合わせたのが40話「殺しの序曲」にも登場するバーク刑事(トッド・マーティン)。画面にいるだけで存在感を感じる素敵な俳優さん


ヴィットリオはマイケル・V・ガッツォ


マイケル・V・ガッツォはゴッドファーザーPART IIなどにも出演した俳優さん。「美食の報酬」では、豪快なイタリア人シェフを名演しています。毒に苦しんで絶命するシーンは印象的です。日本語版吹き替えは藤岡重慶さん「あしたのジョー」のおっつぁん「丹下段平」役でも有名ですね〜。

レストラン振興協会の女性会長はロバート・カルプの元カミさん


葬式のシーンで支払済の小切手を破って、コロンボから目をつけられたメアリー・チョーイはフランス・ニュイエン。彼女は1967年〜3年間ロバート・カルプの奥さんでした。


監督:ジョナサン・デミ
脚本:ロバート・バン・スコヤック
ポール・ジェラード:ルイ・ジュールダン
イブ・プルマー:シェラ・デニス
バーク刑事:トッド・マーティン
 
加筆:2014年6月6日
 
posted by ぼろんこ at 16:45 | Comment(30) | 後期作品(32話〜45話)
この記事へのコメント
コロンボの「カミさん」も出演してましたが、ロバート・カルプの「カミさん」も出てましたね。チョイ役で。
Posted by Rits at 2013年09月17日 20:24
Ritsさん書き込みありがとうございます。ロバート・カルプの「カミさん」ですか!!!!!興味深いです。調べてみます!
Posted by ぼろんこ at 2013年09月24日 16:06
こんにちわ^^

返信ありがとうございます!(^^)!

僕は動画サイトで見ているのですが、今回は特に興味がそそられましたね(笑)
なぜなら、僕の仕事も料理人だからです♪

コロンボの稀な料理シーン、これがコロンボファンにはたまりません(笑)
しかしこのドラマには、美男美女が揃いますね!
そこも魅力的です。

コロンボが、第二のかみさんに選んだデニス、
セクシーかつ可愛さがあり・・
僕もタイプです(笑)
なんか、今の時代でも十分通用する女優さんが
多いですね♪

そうそう、ハッサンサラーの話も前に見たのですが・・う〜ん、この話もイイですなあ!!
ただのドラマじゃなくて、その内容により
時代、国、背景などが、とても勉強になります(´ー`*)
Posted by とっしーー at 2014年02月27日 14:52
とっしーーさん、こんにちは!とっしーーさんも料理人なのですね〜。コロンボは「動画サイト」でも見られるんですか…すごい!デニスはこの後何回もコロンボ作品に登場します。そちらもぜひご覧ください〜。
Posted by ぼろんこ at 2014年02月28日 12:23
ビットリオ役のマイケル・V・ガッツォは、ゴッドファーザー・パート2のフランキー役でアカデミー賞にノミネートされましたし、あの映画の大ヒットのあとで、いかにもイタリア系を印象付けるサービス配役ですね。
まあ被害者なので出番が少なかったのが残念です(笑)
Posted by yas at 2014年05月26日 01:12
yasさんコメントありがとうございます。マイケル・V・ガッツォ=藤岡重慶さんでしたね!本文に加筆します〜。
Posted by ぼろんこ at 2014年05月26日 11:26
「美食の報酬」のBGMは、ラヴェルの「スペイン狂詩曲」の香りが漂い、丁度、日本音楽がチャイナ趣味とちゃんぽんするのに似た味がしました。これからも、セピア色のブログ、楽しみにしております。
Posted by fuguehelix at 2014年05月28日 17:15
fuguehelixさん>コメントありがとうございます。いま「スペイン狂詩曲」を聴きながら書いていました。こんどそんな意識を持って、本編を見てみますね〜。※他のコメントはご指示通り処理してあります〜。
Posted by ぼろんこ at 2014年06月05日 12:04
これは、絶対放映当時より今観た方が面白い!特にこの日本では?八十年代そして、バブルを経て、この間、旅番組、グルメ番組、二時間ドラマで観光ミステリー、グルメミステリーもわんさか(死語w)。それらに先駆けての?中華街を中心にエキゾチックな料理に、極めつけ?のゲイシャ、の遊びいっぱい、悪く言えば俗っぽい魅力の一品。
Posted by 小笠原功雄 at 2014年06月14日 17:33
小笠原さん>コメントありがとうございます。コロンボ作品が制作されたのは1970年代。もう40年くらい前のことですが、今でもその魅力は尽きませんね!人気投票に、1票加えておきます。
Posted by ぼろんこ at 2014年06月16日 12:37
はじめまして。このエピソードは昔昔ガキの頃見た時に、ワインオープナーが変わっていたのと、『ハリセンボンって無毒なんじゃないの?』(確か子供の頃に見た魚介の図鑑にそう書いてあったと記憶してた)と思ったということで覚えていました。

最近見て驚いたのは、監督が「羊たちの沈黙」のジョナサン・デミだったということです。

あと、『アメリカの人は仕事中でもケーキとか食べたりするんだ』と思ったことを記憶しています。
Posted by 王丈 at 2014年07月04日 22:55
王丈さん>コメントありがとうございます。おぉ、ジョナサン・デミですよね〜。「羊たちの沈黙」も見ましたよ大好きです。「ワインオープナーが変わっていた」は…調べてみますね!!
Posted by ぼろんこ at 2014年07月15日 22:44
度々失礼します。
やっぱりハリセンボンは無毒でした。
ttp://www.eikanken-okinawa.jp/shokuG/harisen/harisen.htm

でもこれは物語の本筋とは関係無い、瑣末なことです。普通のフグの外見よりもハリセンボンの方が絵的に面白いから作中で使ったのであろうと思われ、許される誇張(デフォルメ)だと思います。それとも本当に知らないのかも(苦笑)。

ワインオープナーは、エアー式というのがあるんですね。針をコルクに突き刺して貫通させ、ボトルの中に圧縮された空気を入れることでコルクの栓を抜くという仕組みです。カートリッジには圧縮ガスが入っているんですね。

これってエアー式ワインオープナーの会社から、売り上げに影響するとかって抗議がこなかったのかな。要らん心配をしてしまいます。

あと、小津さん役のマコ岩松さんって、昔昔見た、スティーブ・マックイーン主演の映画「砲艦サンパブロ」に出ていた マコ と同一人物だったのに驚きました。

コロンボが「証拠を作る」作品は、ある意味犯人を“操る”わけで、まんまとハマると実に痛快です。

「殺人処方箋」や「歌声の消えた海」「逆転の構図」など、好きな作品です。
Posted by 王丈 at 2014年10月27日 00:01
王丈さん「ハリセンボンの方が絵的に面白い」ということですね!その他にも、日本的に対する描き方がこっけいですよね。
Posted by ぼろんこ at 2014年10月29日 10:02
こんばんは!


今日は、美食の報酬を観てメールします!


なんだかんだと、TSUTAYAで、ダブらないように、コロンボシリーズの題名をメモしているのですが、
いつの間にか、30話を観たことになりました!


今回の美食の報酬は、クスクス笑えるシーン好きなtakeですが、

日本食、イタリアンの美食が多彩で、
オシャレな話だったと思いました!
Posted by take at 2014年11月27日 22:14
はじめまして。

ルイ・ジュールダンさんは2015年2月14日、老衰によりお亡くなりになった、とある記事で知りました。

正直、作品としてはそれほど好きなエピソードではないですが、
ジュールダンさんは怪しげでありながら上品な「怪優」っぷりが印象的で、個人的に記憶に残る俳優さんでした。

ここに追悼するコメントを残させていただきました。
失礼いたしました。
Posted by タップおばさん at 2015年04月01日 01:36
takeさん>コメントありがとうございます。30話!凄いですね。2014年11月の書き込みですので、現在はもっと増えているのでしょう。また他の作品の感想もぜひお教えくださいね。


タップおばさんさん>コメントありがとうございます。ルイ・ジュールダンさんの御冥府をお祈りします。本作の印象は同感です。
Posted by ぼろんこ at 2015年04月30日 15:16
この作品はコロンボが犯人を確信したロジックの意外性・説得力がピカイチですね。その不自然さには全く気付きませんでした。これだけで充分『名作』だと思うので、この作品に一票お願いします。
Posted by スタン at 2015年06月09日 20:35
スタンさん>1票入れました。
Posted by ぼろんこ at 2015年10月03日 00:28
この作品の中でクスリとさせられたのは「コロンボ警部、あなたがこの事件の捜査にあたる間、ひもじい思いはさせません」という業界の大御所?のセリフでした♪
さてさて本日のBSTBS、「黒のエチュード」の録画見なきゃ〜
Posted by 南部鉄瓶 at 2015年10月11日 20:55
南部さん、そうですね。食べるシーンが多かったですね。
Posted by ぼろんこ at 2015年10月19日 17:25
最後、犯人はコロンボを殺そうとした。
しかし、そのアリバイ工作は、どうだったのだろうか?。
第一の犯行は、その場にいなかったという尤もらしい強力なアリバイ
がある。しかし仮にコロンボが目の前で死んだならば、
捜査担当が代わったとしても、怪しまれる可能性が大きいのではないか?。
当然、コロンボも上司に経緯を報告していただろうし。
犯人は、あまりに軽率すぎる。それまでのコロンボの追い込みが、
犯人に大きな軽率さを引き出したとも言える。
Posted by トレモニ at 2015年11月08日 18:22
録画して何度も観ている思い入れのあるエピソードです。ジェラードのキザな立ち振る舞い、せりふ回しに吹き替えがピッタリはまっていて素晴らしいと思います。
トリックの方がワインオープナーのことをよく知らないがためにわかり辛く、コロンボを同じトリックで殺そうとするのも賢いとは言えませんが、美味しそうな料理がこれでもかと登場して観ててとても楽しい作品です。あとヴィットリオやその甥のマリオ、アルバートなど脇を固める人々も魅力的です。コロンボがイタリア語を話すシーンもいいですね。
Posted by すぴっつ at 2015年11月16日 11:44
私が一番好きな回です。ジョナサン・デミ監督の遊び心満載で楽しいですよね。
ジュールダンさん、亡くなられたんですね。94歳くらい?でしょうか。合掌…。007オクトパシーの敵役が印象に残っています。
Posted by 大先生 at 2015年11月27日 13:01
・他の人からの情報提供あり、ジェラードがヴィットリオを恐喝していたこと、
 ヴィットリオが金銭提供拒否したことは、ほぼ見えている。
・ジェラードはヴィットリオと食事するつもりはなく、早々に引き上げる
 予定だった。
・ジェラードの注文によって、ある漁師からフグを仕入れた事の判明。
・新しく詰め替えたハズのカートリッジが空っぽになっていた
 →毒発覚防止のすり替えと推理→さかのぼって毒混入の状況証拠になる。
このようにコロンボから、動機、方法、チャンスについて詳らかにされた後、
ジェラードは「証拠が無い」と一蹴してしまう。ここまで冷静な男だった。
だから、コロンボを毒殺しようとする必要はなかった。またも勇み足です。
極めて珍しいことに、裁判でも逆転の可能性はありません。残念ですね。
Posted by トレモニ at 2015年12月24日 01:36
あんたは、たいした刑事だ。
実に有能です。
しかし、付き合いたいとは思わないな。

これ、よく分かるなあ。
今回は、でっち上げの証拠ねつ造はなかったものの、いつものコロンボは、
逮捕の為なら手段を選ばず、場合によっては最も敏感な感情も踏みにじる。
Posted by トレモニ at 2015年12月24日 08:12
「美食の報酬」では、
 あなたの才能は素晴らしいが、後はてんでイケません
「白鳥の歌」では、
 コレほどの歌が歌える人に、悪い人はいませんよ

ええ?、トミー・ブラウンは、2人も殺しているんですよ。
その動機は、女欲しさ、お金欲しさという単純な我欲です。
一方、ジェラードは、ヴィットリオから破滅させると脅されていたことへの
自己防衛のためでしょう。ジェラードとヴィットリオの関係は別にして、
お金を払う側とレストランを評価される側とで、一応は契約が成立していた
のでしょう。それを、後から逆恨みするなんて。
客観的に見ても、主観的に見ても、どう見ても、上記のコロンボの評価は
いただけません。いくらなんでも、ジェラードが浮かばれません。
Posted by トレモニ at 2016年01月14日 19:30
犯罪動機を形作る背景には、矛盾があります。
コロンボの説明では、
・犯人はレストラン振興協会の陰のパートナー。
・ヴィットリオと2,3のメンバーは、長い間犯人に大金を払ってきた。
・犯人はレストランの宣伝をして売り出してやれる立場。
・コテンコテンにけなして、潰すこともできた→武器として恐喝した。
・ヴィットリオは払わないと言いだし恐喝をバラすと逆襲した→殺害動機へ
宣伝をしてもらえるのは良いことだ。広告宣伝費のつもりで払うでしょう。
「払わなければ潰す」と恐喝されたら、その時点でメンバー間で協議して、
告訴すれば良いだけの話です。なにも長い間、大金を払う必要はない。
ちょっとでも恐喝めいたら、即告訴です。即ジェラードの命取りです。
それを恨みがましく「正体をスッパ抜いてやる」なんて言わなければ
ならなくなるまで払い続けて、我慢を溜め込む必要もないでしょう。
元々、逆襲する腹があれば理解できますがね。
Posted by トレモニ at 2016年01月16日 10:09
 このエピソードで注目すべきことは「フグ毒で殺人を犯したという設定ながら、ハリセンボンは、無毒である」というところでしょう。
 ではなぜわざわざ「ハリセンボン」を使用しのでしょう。
 どなたかのコメントにもありましたが、「日本らしさ」の演出という意味合いも考えられます。しかし私は、「実際の犯罪を防ぐ」という意味があるのではと推理します。
 もし猛毒であるトラフグやクサフグを使用し、それを映像で流したとしたら、模倣犯が出る恐れもあります。それを防ぐために「わざと無毒のハリセンボンを使用した」と鋤谷は考えるのです。
 昔読んだ由良三郎の『ミステリーを科学したら』というエッセイにも「ミステリー作家は自ら考えた犯罪手法が応用されない工夫を凝らしている」ということが書かれていました。
 大好きなコロンボシリーズが、実際の犯罪に使われたら、やはり悲しいです。それゆえ、この矛盾には、やはり目をつぶるべきだと鋤谷は思うのです。
Posted by 蓑笠亭主人鋤谷九郎 at 2016年06月04日 04:28
いくらフグ毒が猛毒でもあんなにすぐには死なないですよね?
あと、コロンボはジェラードに背を向けて料理していたのにどうやってグラスをすり替えたんでしょうねー?
ハリセンボンや芸者やイブが着てた変なハッピや
当時のアメリカ人の日本に対する認識はこんなものだったんでしょうか。
Posted by 美食の応酬 at 2017年02月05日 09:18
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筆者ぼろんこが1970年代にNHKの総合テレビで刑事コロンボに出会った頃は小学生でした。それから30数年後の2009年にNHK BSで再会した時、その素晴らしさにあらためて感銘し、自分なりの解釈をブログに書きためるようになったのでした。