刑事コロンボ「黄金のバックル」
Old Fashioned Murder / 1976[第6シーズン 39話]
Old Fashioned Murder / 1976[第6シーズン 39話]
美術館の館長ルース・リットンが、大切にしている美術館の売却を企む理事である弟のエドワード・リットンを警備員ミルトン・シェイファーとの同時発射の相撃ちに見せかけて殺害します。
ジョイス・ヴァン・パタンが可愛い
女性が犯人役である作品の中では「主人公の女性の描き方そのものが異色」とも思えます。女性らしさを捨てた犯人ルース・リットン[ジョイス・ヴァン・パタン]が、かえって美しく感じられる作品でした。
他の作品の女性犯人と比較し、自分は決して弱々しくない…というような強がりの精神も見えました。ジョイス・ヴァン・パタンは27話「逆転の構図」にもシスター役として出演しています。
悲しい物語に、滑稽なキャラクター
逆に姉のフィリス(セレステ・ホルム)は自分を「美しい」と讃えますが、画面には美しさよりむしろ「滑稽さ(気絶・裾踏まれ)」が漂っています。この「裾踏まれ」のギャグは33話「ハッサン・サラーの反逆」でも炸裂しています。
トリックには疑問が続出
犯行の仕掛けとしては、疑問点が多く残ります。男性二人、弟エドワード(ティム・オコナー) vs 警備員シェイファーで、ほぼ同時に拳銃を発射して相撃ちとなり両者が死にました。シェイファーはその時、兄に電話していて留守電には銃撃音が一発録音されています。現場の電話は、シェイファーが撃たれたので受話器がぶら下がったまま。どう考えてもあり得ないですよね。コンマ数秒発射がずれれば、どちらか生き残るはずだし、2丁の拳銃の音が1音に聴こえるはずがないし。
そこを除外したとしても「二人が同時に死んだ後、誰が灯を消したんでしょう?」という、コロンボ警部の大疑問は、他の作品と比較しても「かなり明瞭ですっきりした着眼点」として評価できます!
邦題は「黄金のバックル」
ややもすると、全体のストーリーとはあまり深く関係しない証拠品にスポットが当たっている気もします。「黄金のバックル」は後半で犯人にされかかった姪のジェニー(ジェーニー・バーリン)が、このお宝を「灰皿」として扱ったことから容疑が晴れること。そしてこの証拠品は、自分を愛していたはずの叔母ルースが「自分に罪を着せる」ための小道具であった…というかなり悲しい事実が背景にあり、まぁ納得できる邦題とも思えました。
原題の「Old Fashioned Murder」は「古風な殺人」とでも直訳できそうですが、ルースは今回の二重殺人のずっと以前にもう一人殺していたようです。もしそれが明るみになれば、家族を守ってきた気丈な叔母さまから「父親殺し」へと転落します…。その駆け引きがラストシーンの数分間にありました。
過去の事件を暴いて、犯人を落とす作戦
それにしてもコロンボ警部の凄さは、このように「今担当している事件」はもちろん、過去に犯した犯罪をも見破ってしまうことですね〜流石です。そして犯人にほのめかし、犯行を自供させるのですね。14話「偶像のレクイエム」も似たようなエピソードでした。
ティム・オコナー
被害者のエドワード・リットンの俳優はティム・オコナーで、17話「二つの顔」では弁護士マイケル・ハザウェイを演じていました。どちらも、なかなか印象に残る演技でした。ただしルースとの会話「ヴィクトル・ユゴー」「オスカー・ワイルド」のくだりは、劇文学に精通していないと笑えないかも。
監督:ロバート・ダグラス
脚本:ピーター・S・フェイブルマン
出演:ジョイス・ヴァン・パタン、ティム・オコナー etc.
加筆:2011年10月5日