2010年01月04日

刑事コロンボ 14話「偶像のレクイエム」

刑事コロンボ「偶像のレクイエム」
Requiem for a Falling Star / 1973[第2シーズン 14話]

往年の大女優であるノーラ・チャンドラーが長年パートナーとして秘書を務めたジーン・デービスを車ごと爆破して殺害。

シリーズきっての大スター役


原題を私風に直訳すると「落ち目スターの葬送曲」となり、邦題よりもストーリーを素直に言い表す言葉になります。偶像のレクイエムは、今ひとつ…絵が浮かばない邦題かもしれません。

子役時代から一世を風靡し、映画界に君臨して来た銀幕の女王で、刑事コロンボのゲストスターが演じる犯人役の中でも、格別のスター度だと認識した方が良いかも知れません。コロンボ警部も劇中で何度か家に電話して「自分が今、どこにいるか?わかるか?ノーラ・チャンドラーのバンガローだよ」と、自慢気でした。
→偶像のレクイエムのロケ現場

本当は誰を殺したかったのか、分からない…


14話という初期作品なのですが、倒叙法(最初から犯人が分かっている)を原則としながらも「本当は誰を殺したかったのか、分からない…」という興味深いストリー展開となっています。おそらくこの作品を見た人の多くは、ゴシップ記事作家の「ジェリー・パークス」を殺そうとして誤って秘書を殺してしまった…と思ったでしょう。でも、もしそうであれば生き残ったパークスが「ノーラが自分を殺そうとしていた」と告発すれば、一気に容疑が固まるわけです。この二人の「くされ縁的な不利害関係」が前提として、物語は考えられていて、非常に「深い」ものを感じました。

大女優が演じ続けていたもの


その背景には「ノーラ が12年前に当時の夫を殺してしまった」ことも隠れているので、話がさらに複雑になり、ちょっとボケちゃってるのかも。ただ単に「往年の大女優が誇りを守るために殺人を犯した」だけでも、充分ストーリー展開できる気がしました。12年前にすでに殺人を犯していて、その後何喰わぬ顔でスターを演じていた…大女優?というオチでしょうか。

ストーリー展開の要所にドラマ撮影の場面が登場します。一瞬「本編(刑事コロンボ)の一場面」と錯覚させるようなな使い方をしていて、これは見る側を「はっ」とさせました。

コロンボ警部が「テレビなどを見ていて、事件解決のヒントを得る」ことは数回ありますが、あまりスッキりしないことが多い気がします。もちろん時代背景も考慮すべきですが。類似作品としては10話「黒のエチュード」30話「ビデオテープの証言」など。
 

愛車プジョーの汚れ方が尋常でない


セレブな犯人たちは、こぞってこの車を「ボロ車」と見下しますが、大女優:ノーラ・チャンドラーがこの愛車プジョーに同乗したのは奇跡かもしれません。しかもこの時のボディの汚れ具合は尋常ではありません。どう見ても演出上、わざと汚しています(笑)
 
監督:リチャード・クワイン
脚本:ジャクソン・ギリス
出演:アン・バクスター、メル・ファーラー、イーディス・ヘッド etc.

加筆:2015年3月5日
 
posted by ぼろんこ at 11:01 | Comment(13) | 中期作品(10話〜31話)
この記事へのコメント
こんばんわ^^

壁打ちのおじさんの1票、光栄ですm(__)m


今回のノーラ、名前が似ているからかor髪型のせいかローラに似ていますね(雰囲気だけですが)笑 

確かに今回は、目的が不明瞭な気がします。謎なんですが深い・・
K年前に夫を殺したっていうのは、コロンボにはなかなか無い今風な事件ですよね!

家を売らない理由、水の出ない噴水・・
秘密を知られたジーンを口封じにしようとする

これらの状況証拠が事件解決に至ったかもですが、
はたしてパークはどこまで事実を知っていたのか?指輪の件は、ちょっと分からなかったのですが、どういう経緯でしょうか??


それにしても、コロンボのノーラへの熱烈なアプローチ、よっぽどファンで好きだっただけに、
今回の事件は、残念でしょうね^^;

関係ないですが、コロンボの身長は170センチくらいでしょうか?ちょうどノーラと同じくらいでしたし、パークもマネージャらしき人もけっこうデカかったですし^^
後、日本人は膝上が長い人いますけど、外国人は膝下が長いですよね(´ー`*) 

美容界では、膝下&膝上の割合が「5:3」が黄金比率とか・・僕は後5センチくらい脚が伸びないと
4:3にならないってのに・・笑

Posted by とっしーー at 2014年04月18日 22:23
とっしーーさん、コメントありがとうございます。

「指輪の件」は…
ジェリー・パークスが持っていた指輪は、「もしかしたら…噴水の下に埋葬した亡き夫の遺体を発見されたか…」と、ノーラに不安をもたせるため、コロンボが用意した小道具です。要するに罠(わな)ですね。
Posted by ぼろんこ at 2014年04月28日 10:54
終盤の噴水のくだり、

動揺を隠しきれなくなってからのノーラの眼力が印象的でした。

「私は嫌い!!」
からの演技が特に秀逸だと思います。
Posted by タップおばさん at 2015年05月14日 19:43
いつも楽しく拝見させていただいております。
久しぶりに見て思ったのですが、ノーラ・チャンドラーは夫を殺したことを、秘書のジーンに知られていたのではないでしょうか。もしかしたら、それをネタにゆすられていたのかもしれません。そして、ジーンがジェリー・パークスと結婚すると、そのことがノーラを通して知られてしまう(彼のゆすりのネタにされてしまう)ことをおそれて、ジーンを殺したのではないでしょうか。最初のシーンで彼がイタリアでの映画でのことを話してきたので、このままではジーンを通して私もゆすられるかもしれないので、ジェリー・パークスが夫殺しを(いつか)伝えられる前にジーンを殺してしまおうと考えたのではないでしょうか。それでも私の中には、なぜ、一緒にふたりとも殺さなかったという疑問は残りますが・・・。
Posted by AKI at 2015年06月13日 12:10
タップおばさん>「私は嫌い!!」からの演技が特に秀逸ですね。劇中の女優役ということで、ひとしおです。
Posted by ぼろんこ at 2015年10月03日 00:06
AKIさん>なぜ、一緒にふたりとも殺さなかったか?には、ドキリとしました。それにしても、昔に犯した罪に苛まれる日々…怖いです。
Posted by ぼろんこ at 2015年10月03日 00:10
ぼろんこさん、こんばんは。

おっしゃる通り「偶像のレクイエム」は倒叙法でありながら、ノーラが本当は誰を殺したかったのかが途中までわからないという、ちょっと凝ったストーリーになっていますよね。私も最初は、てっきりパークス氏を殺したかったのに、誤ってジーンを殺してしまったものと思っていました。

それにしても、「忘れられたスター」のときもそうでしたが、コロンボ警部が有名女優に会ったときの喜びようは、半端じゃないですね。

それと今回のプジョーですが、ずっと洗車していないというよりかは、いたずら書きされたの?って感じです。いくらなんでもちょっと演出のし過ぎ!?
Posted by チリ大好きおじさん at 2015年10月19日 22:46
プジョーの汚れはわざとらしいですね、笑えます(笑)
Posted by ぼろんこ at 2015年10月23日 21:38
犯人の強気から観念した時の表情の変化がすばらしい。
あまり同情されるべき犯行動機ではでないですね。
第一の犯行が第二の犯行動機になっている。
これは、仮面の男、黄金のバックルなどでもありました。
たいがいは「第一の犯行は証明できませんが・・・」ときますが、
そこまで掘り下げていかないと、第二の犯行の本質を
掴めないのですね。
Posted by トレモニ at 2015年11月08日 22:12
このエピソード、かなり思い出深いです。あくまで個人的にですが、似たテーマの名作「忘れられたスター」に匹敵します。
憧れの女優に逢って感激するコロンボ(おそらくこの反応は素だと思われます)の様子も楽しいですし、物語が進むにつれて少しずつ見えてくるノーラの悲哀、そして切なすぎるクライマックスは心に沁みます。コロンボが彼女に優しく接する姿を観て、彼のことがさらに好きになりました。
Posted by すぴっつ at 2015年11月22日 18:55
以前見たときは気がつきませんでしたが、あの衣装さんはアン・バクスターが出演した「イヴの総て」でアカデミー衣裳デザイン賞を受賞したイーディス・ヘッドご本人なんですね。友情出演といったところでしょうか。
アン・バクスターは「イヴの総て」で、のし上がっていく大女優の付き人役をやっていました。今回は大女優が付き人を・・・キャスティング時には意識してたんでしょうね。今度イヴの総ても観てみようと思います。
Posted by syahuthiel at 2016年01月11日 19:22
「白鳥の歌」のトミーの言葉。
トミー:コロンボくん、君は実に抜群の想像力の持ち主だな、はっはっは。
これは、この「偶像のレクイエム」でこそ表現され評価されるべき言葉だ。

特に、ノーラのバンガローでTVを観たことで、ノーラが夫を装った偽装工作を
したことに勘づくということは、なんというか、普通はあり得ない。
コロンボが見る世間や人物、もっと言えば自然や世界は、普通の凡人とは違って
見えているのではなかろうか。
コロンボの頭の中では、まず容疑者の見当を付けるだろう。それを主軸に、
色々な矛盾とその解決、状況証拠、仮説、動機、チャンス、方法、容疑者の過去、
人生や価値観、クセ、対人関係、・・・・色々なものがいっぱい詰まっている。
バンガローでTVを観たことで、それらの点が、一気に線となり面となった。
その面となった仮説の証明で最後を飾った。

過去の殺人が今回の殺人動機へと繋がっているものとして「黄金のバックル」
がありました。
Posted by トレモニ at 2016年01月13日 08:53
コメントありがとうございます。この作品に1票追加いたします。
Posted by ぼろんこ at 2016年05月04日 18:27
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筆者ぼろんこが1970年代にNHKの総合テレビで刑事コロンボに出会った頃は小学生でした。それから30数年後の2009年にNHK BSで再会した時、その素晴らしさにあらためて感銘し、自分なりの解釈をブログに書きためるようになったのでした。