2010年01月05日

刑事コロンボ 13話「ロンドンの傘」

刑事コロンボ 13話「ロンドンの傘」
Dagger of the Mind / 1972[第2シーズン 13話]

往年の人気舞台俳優、ニックとリリアン夫妻は業界に君臨するプロデューサーのサー・ロジャーを死なせてしまう。それをロンドン視察旅行中のコロンボが解決するというお話。

意外と人気が高い作品…


海外ロケということもあり「ハメを外した」作品と言えるかも知れません。が、何度も見返すと、作品の持った心地よい雰囲気を理解できるようになります。この「ロンドンの傘」は私の個人的な評価よりもはるかに人気の高い作品で、ぼろんこ独自調査の人気ランク8位に入っています。(2015年4月現在)→人気作品ランキング

犯人の俳優夫妻


邦題の印象とは似合わず、犯人役のキャラクターは明るく描かれています。犯人の舞台俳優夫妻「ニコラス・フレイム:リチャード・ベイスハート」「リリアン・スタンホープ:オナー・ブラックマン」のコンビは、落ちぶれた俳優役ですが、息の合ったお笑いコンビのようにも見え、可愛かったです。劇中の台詞は、題材のマクベスをヒントにしたものが多く、この作品をより一層楽しいものにしています。嫁のリリアンは、有名な女優の割には「劇中の芝居がクサい」ですね、これも面白い演出です。

コロンボ警部は、証拠をねつ造!


刑事コロンボシリーズの中で、よくある解決方法で「証拠を作ってしまう」というのがあります。これは犯人自身に「証拠を作らせる」「決定的な行動を引き出す」ことが美学であると捉えますが、今回は明らかにコロンボ警部が「証拠をねつ造」しました!ダーク刑事部長の「やったな!」という印象的な台詞で幕を閉じます。この「証拠ねつ造」には賛否両論があると思います。

自白したのはニコラスではなく、リリアン。


ラストシーンでは一見、夫のニコラスが自白したと錯覚するが、実は何もしゃべってはいません。気が変になった彼を見て、妻のリリアンが「事故だった、馬鹿なことをした」と自白してしまいました。しかし…事故では済まされません、執事を殺害しています。

ウィルフリッド・ハイド=ホワイトが素敵


被害者のサー・ロジャーの執事:タナー(ウィルフリッド・ハイド=ホワイト)は素晴らしかったです。イギリス紳士とはかくあるもの…という品格。しかし従順のようで「したたか」。ハイド=ホワイトは37話「さらば提督」にも出演。


バーナード・フォックス


ロンドン警視庁(スコットランドヤード)のダーク刑事部長(バーナード・フォックス)はイギリス出身の俳優さんで、29話「歌声の消えた海」で客船のパーサー:ワトキンス役で出演しています。「ボートではなく汽船で…」が口癖の乗務員ですね。

ダーク刑事部長は51話「だまされたコロンボ」で名前だけ再登場しています。

小池朝雄さんは、もの凄く声が枯れていた。


本題には関係ないことですが、今回の小池朝雄は、すごい声でした。お風邪を召されていたのでしょうか。

ウォーカー・エドミストン


これまた、どうでも良いほど些細な場面で、サー・ロジャーの車を洗車していた「ウォーカー・エドミストン」なる俳優さんは、名作の19話「別れのワイン」で、ワインのオークションを仕切っていた人です。

岸田今日子さんが素敵。


リリアン・スタンホープの吹き替えはムーミンなどでもお馴染みの女優:岸田今日子さん。岸田さん亡き今、このロンドンの傘を見るたびに、この素晴らしい声色と台詞まわしで、彼女を感じることができます。時にはオナー・ブラックマンが岸田さんに見えてくるのです。

空港でスリと間違われる。


ロンドン空港に到着したコロンボ警部は、自分の旅行カバンを見失います。このカバンがカミさんのもので、おそらく凄い花模様で派手な紫色。その後、迎えに来てくれたロンドン警視庁のオキーフ刑事と無事出会えますが、この時の握手はまるで腕が契れんばかりの勢いで、笑えます。

劇団のミス・ダドリー


劇団のスタッフ(稽古中にメモをとる、葬儀で泣いている)の女性「ミス・ダドリー」は女優シャロン・ヨハンセンで、18話「毒のある花」のマーチソン博士の場面で登場するマッサージ師の金髪の女性「オルガ」と同一だと思われます。


人形置き場の部屋は、黒のエチュードでも登場。


ブログゲストさんの発見です。蝋人形が置いてあった部屋は「黒のエチュード」で容疑をかけられるポールが演奏するクラブと同じ場所です。階段をみたらわかります。

監督:リチャード・クワイン
脚本:ジャクソン・ギリス

ニコラス・フレイム:リチャード・ベイスハート
リリアン・スタンホープ:オナー・ブラックマン(岸田今日子)
サー・ロジャー:ジョン・ウィリアムズ
執事タナー:ウィルフリッド・ハイド=ホワイト
ダーク犯罪捜査局刑事部長:バーナード・フォックス
ミス・ダドリー:シャロン・ヨハンセン

加筆:2016年5月2日
 
posted by ぼろんこ at 20:09 | Comment(30) | 中期作品(10話〜31話)
この記事へのコメント
舞台がロンドンということもあってか、音楽がとても凝っている。冒頭&ラスト〜・・・。バロック風もしくはケルト風にも通じるような作りでハーモニーも面白い展開をする。冒頭では、まだあまり普及してなかったシンセサイザーの音色でメロを奏で、次いでトランペットに受け継ぐ。とっても印象深い旋律でドラマと共に心に残ります。もちろんストーリー&最後のトリックも面白い。私の中では第3位くらいにランクしている13話です。
Posted by 蛙三郎 at 2013年01月27日 11:09
今、見終わってぼろんこさんの記事を見たんですが、コロンボいつ珠を入れたんですかね!?(笑)

そして・・小池さんの声枯れは、コロンボの「やったな」の証拠のねつ造とリンクしてませんか?小池さんが、わざと声を枯らせたのですかね(驚)

ターナー、紳士かつ狼狽ぶりは圧巻でした!
しかし、犯人が誰だかわかってから、コロンボに言わなかったのと、夫妻を脅したのはマズかったですね・・殺されるのを考えなかったのかなと^^;

ダーク刑事とコロンボのやり取り、観光ではしゃぐ感じは、なかなか好きなシーンでした(笑)
最初の握手も、すごかったですね(笑)

しかし、最初に正直に自主していれば・・と思うんですがね〜過失致死のような・・
まあ、じゃないと物語が始まりませんが^^;

Posted by とっしーー at 2014年04月16日 17:11
蛙三郎さん、お返事が大変おそくなってすみません。おっしゃる通り、良い雰囲気をもった作品ですよね。1票付け加えます!

とっしーーさん、小池さんは舞台の練習で声が枯れた…ような発言を目にした気がします。間違っていたらごめんなさい。
そうなんですよね、今回は計画殺人ではありませんでした。でも、二人の俳優生命は…断たれるでしょう。
Posted by ぼろんこ at 2014年04月18日 20:43
ぼろんこさん、すいません、一つだけ・・・。

リリアンは逮捕され、出所した後も女優活動を続けているようです。

これは、「だまされたコロンボ」のノベライズ版「消える女」で明かされます。

ノベライズ版はダーク部長が登場し、彼の会話から明らかになります。

興味があったら、ノベライズ版を見てみるといいと思います。


すいません、「Me」改め、「るてなんと」でした。
前の「Me」名義の記事は消してくださいますか?
Posted by るてなんと at 2014年07月15日 19:13
るてなんとさん>コメントありがとうございます。「Me」さんの一つ前のコメントは消しました。

リリアン→逮捕→出所→女優活動

彼女は芯が強いので、へこたれないと思います!
なんだか、とっても心が温かくなりました。ダーク部長が、そう教えてくれるんですね〜。う〜涙。
Posted by ぼろんこ at 2014年07月15日 23:32
こんにちは。
この夫婦は犯罪者ではありますが、とっても仲が良くて、独身の私はこんな夫婦になりたいなと、ほほえましく
拝見しました。執事のターナーが脅迫に来たとき、夫婦がしっかり、手を握り合うシーン好きです。。
Posted by フリーディア at 2014年07月21日 20:44
フリーディアさん、コメントありがとうございます。とっても素敵なご感想。胸が熱くなりました。おっしゃる通りですね。コロンボ作品の中には「夫婦間の憎悪」や「不倫を含む三角関係」なども多いですね。

リリアンの声:岸田今日子さん、印象に残りますね〜。
Posted by ぼろんこ at 2014年08月14日 00:09
お邪魔します<m(__)m>
コロンボファンの一人です。
各回の紹介とコメンテーターとのやり取りを拝見して、楽しくなったので、コメントしたくなりました。

記事中に、意外と人気が高い作品・・・とでていますが、私個人の中でも上位です。
ストーリーエンデイング間際、コロンボに追いつめられ、夫婦二人は動揺しますが、それぞれの表情が対照的で印象的です。
Posted by やじろべえ at 2014年11月30日 02:02
やじろべえさん、コメントありがとうございます。すっかり心が萎えている夫と、全然諦めていない妻。二人のキャラクターが面白いですね。1票追加しておきます。
Posted by ぼろんこ at 2014年12月14日 14:40
万全なコンディションの小池朝雄さんの演技が聴きたかったというファンは多いのではないでしょうか?

あと、私はそんなにこの作品は好きじゃありません。
Posted by タップおばさん at 2015年05月27日 00:25
冒頭から、小池さんの声枯れが気になっていました。

最後の蝋人形館で、咳払いしながらポケットの真珠を出すシーンですが あの時コロンボは風邪を引いていたのでしょうか?雨に打たれるシーンもありましたよね。

日本語吹き替えしか見ていないのですが、吹き替え前のピーターフォークの声に前半と後半で変化はあったのでしょうか?

ちょっと気になったので、ご存知の方がいらっしゃったら教えていただけませんか。
Posted by ziggy at 2015年06月30日 21:00
ziggyさん「咳払い」ですね、確かそのような記憶があります。詳細がわかりましたら、加筆しますね。
Posted by ぼろんこ at 2015年09月30日 12:52
ぼろんこさん、初めておしゃべりさせていただきます。
私は1年半前から中国広東省に駐在しています。中国でもインターネットを使ったテレビで日本の放送が見られるので、今BSTBSでやっている放送を毎日楽しく見ています。

初めて刑事コロンボを見たのは、NHK総合テレビで土曜の夜にやってた頃です。まだ高校生だったですかね。そのあと再放送やDVDを何度も見ていますが、このサイトには新鮮な発見がいっぱいあって、本当に楽しませていただいております。
初めてコロンボを見たとき、コロンボ警部の好物のチリってどんな食べ物なのか、さっぱりわからなかったのですが、昔近所にあった「ウェンディーズ」っていうハンバーガーショップでチリの正体を知りました。それ以来、私もチリが大好きになりました。さすがに広東省ではお目にかかれませんが・・・
悪の温室で、チリに豆を入れるか聞かれて、警部が「飽きるから今日は豆抜きにして」と言ったくだりは笑えます(^^)v

あと前から思っていたのですが、ロンドンの傘のダーク部長は、「奥様は魔女」に出ていたドクターボンベイっていうちょっと怪しいお医者さんですよね。

これからも、たまにおしゃべりさせて下さいね。


Posted by チリ大好きおじさん at 2015年10月18日 17:48
子供の頃、TV放映で観たのですが、今回30年ぶりくらいに見直しました。ほとんど覚えていなかったのですが、ラストシーンに関しては、はっきりと覚えていて記憶通りでした。よほど印象深かったのですね。
そして、葬儀でのリリアンの嘆きっぷりは、大げさですね〜。本当に女優!?
あれじゃコロンボじゃなくても、めちゃくちゃ怪しいと思うでしょう…。
Posted by みちゃん at 2015年10月18日 22:32
チリ大好きおじさん>楽しいお名前ですね!中国からですね、ありがとうございます。「チリに豆を入れるか」のシーンは私も大好きです。バートという例の店員が良いですね。ダーク部長=ドクターボンベイは、初耳でした。今後調べます。
 
みちゃん>コメントありがとうございます。「葬儀でのリリアンの嘆きっぷり」は、確かに凄いです。学芸会のような泣き演技で、ユーモアを感じます(笑)
Posted by ぼろんこ at 2015年10月19日 17:37
最後に自白的な言動に出たのはいけませんね。
シラを切り通したら、裁判は微妙だったでしょう。
というか、逮捕も難しかったのでは?。
Posted by トレモニ at 2015年10月31日 19:45
ドロを吐かすためには、何をやっても良いのか?。警察の横暴です。
まあそれまでの捜査段階で、犯人を精神的に追い込んでいたのだから、
コロンボ的には、最後のトドメということで、犯人の行動と言動とを
決定的証拠にしたかったのでしょう。いつもよくある自滅ですね。
Posted by トレモニ at 2015年11月09日 06:57
リリアンとニコラスの夫妻はほとんど最後のほうになるまでコロンボを強敵と認識してないように見受けられます。というより、中盤では彼らはほとんど接触していません。そのため対決のテンションはきわめて緩く、ぼろんこさんと同じくぼくも本作はあまり好きになれません。対決でなく傘をめぐる動きを見せるのが趣向だと言われてもちょっと…。やはり刑事コロンボはそれなりに手ごわい犯人と丁々発止の対決をしてほしいです。
Posted by すぴっつ at 2015年11月17日 22:09
蝋人形が置いてあった場所は、黒のエチュードでポールが副業で
練習していた場所と同じでしたね。
そこは、ロンドンなのか?、カリフォルニアなのか??。
Posted by トレモニ at 2015年12月19日 21:56
どうも、コロンボはでっち上げ証拠による自白偏重主義だな。
犯人側が、コロンボの催眠術的詐術から解放されて正気を取り戻せば、
裁判では逆転勝ちできるケースが多い。
見方を変え魂の観点では、犯人の魂はきれいでコロンボは汚れている。
コロンボは、自白を得るためには手段を選ばない。
犯人側は、追い込まれたと錯覚し後ろめたさ(良心呵責)と相まって
自白してしまう。
Posted by トレモニ at 2015年12月21日 06:38
BS・TBSはうれしいことにもう一回放送してくれていますね。
最後、逃れることができないと悟ったリリアンのセリフ、一部岸田今日子さんから別の声優さん(本編カットされたシーンの追加版と同じ人?)に変わる部分があります。おそらくニックの心神喪失や耗弱を訴える部分に現在では差し障りのある表現があったのでしょう。
Posted by 南部煎餅 at 2016年01月30日 19:45
初めまして、いつも楽しませていただいてます。
今BS-TBSの放送を楽しみに見返しています。
何度も見た作品ですが、今回面白いシーンを発見しました。
コロンボが最初に蝋人形館に関係者を呼んで証拠調べをする夜、玄関からダーク部長がカツカツカツと入ってきたとき、途中で一回歩幅を調整するようにステップします。
なんかイギリス紳士の真面目さが垣間見えて面白いですね。
Posted by けんけんず at 2016年02月14日 12:01
ぼろんこさん、初めまして。楽しいブログですね。ちょうど今、スーパードラマTVでロンドンの傘をやっています。(好きな作品ですが、一番好きなのは、死者のメッセージです)私は小池朝雄さん以外の吹き替えは、長いこと嫌だったのですが、新シリーズの歳を取ったコロンボには、石田太郎さんが合ってるかもと、最近思うようになりました。ロンドンの傘で、ちょっと笑える所が、お腹が空いたコロンボがクラブで解剖の写真を見せられて、食べられなくなってしまうシーン。コロンボが可哀想なんですが、検死医が刑事はああいう写真を見慣れていると思い込んでいる所が、面白かったです。

チリ大好きおじさんさん
ダーク部長=ドクターボンベイで、間違いありません。
奥様は魔女も大好きで、見ていました。
Posted by antann at 2016年02月14日 18:43
みなさん、書き込みありがとうございます。いろいろ楽しい話題があがりました。
蝋人形が置いてあった場所
逃れることができないと悟ったリリアンのセリフ
ダーク部長=ドクターボンベイ
ダーク部長が歩幅を調整
解剖の写真で食べられなくなってしまう
などなど、今後親記事に加筆します。
Posted by ぼろんこ at 2016年02月23日 09:15
リリアンはどっかで見たと思ったら、ボンドガールだったんですな!
コロンボの時はもうかなりおばさんだったのと、僕も同じく岸田今日子さんの吹き替えがあまりにぴったりでイメージわかなかったのですね。
ゴールドフィンガーがこの10年前ですがもう既に30台後半だったのか。
Posted by ジミー頁 at 2016年03月14日 10:15
リリアン=ボンドガール!
調べてみましたら「007 ゴールドフィンガー」に出演しています。もう一度みてみたいです。
Posted by ぼろんこ at 2016年05月04日 14:54
1972年は中1、この12年後に初渡英。いまから32年も前のこと。最後の画面のアルバートホールの前を自転車で走ってたことを思い出しました。1972年には白人しかいなかったのですね。
Posted by べーやん at 2016年11月26日 23:42
こんにちは、ブログ楽しませていただいてます。
南部煎餅さんのコメントで気になっていたことが解消されました。自転車でのやりとりをリリアンさんがしてる時、いきなり声優さんの声が変わりますよね。追加の場面だったのですね。
このお話は結構、好きです。犯人のすったもんだに敵ながらハラハラします(;^_^A
Posted by えり at 2017年01月06日 15:22
はじめまして。ロンドンから楽しく拝見しております。ここロンドンでもコロンボは人気があり、今でも2つのテレビ局(ITV3 , Channel 5 USA)で毎週放映されております。
わざわざロンドンまでロケ地を訪問する人はいないかと思いますが、最初にダーク部長と出会ったNew Scotland Yardですが、St James park駅の再開発に伴い、今はBIG BENのそば(Embankment)に移転しましたので、ご注意ください。くるくる回る三角柱の看板は健在です。
Posted by BIG BEN at 2017年05月19日 04:33
ロンドンから!ありがとうございます。
Posted by ぼろんこ at 2017年10月12日 17:47
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筆者ぼろんこが1970年代にNHKの総合テレビで刑事コロンボに出会った頃は小学生でした。それから30数年後の2009年にNHK BSで再会した時、その素晴らしさにあらためて感銘し、自分なりの解釈をブログに書きためるようになったのでした。