2010年03月02日

刑事コロンボ 1話「殺人処方箋」

刑事コロンボ「殺人処方箋」
Prescription : Murder / 1968[1話]

私は刑事コロンボシリーズのビデオやDVDのを所有していません。この第1話「殺人処方箋」は2010年4月9日のNHK Bs Hiでの放送で初めて見ました。

オープニングのタイトルバックが凄い!


かつて舞台劇として演じられた作品を、TV用に再アレンジして制作されたパイロット版だということです。冒頭の番組名やキャストのクレジットのデザインにはびっくりしました。時代性を物語っていますね〜。それに比べ、3話「構想の死角」からはお馴染みの「右揃え・黄色のゴシック系書体(注)」という、刑事コロンボシリーズ独特のオープニング画面が定着するようです。

若々しいコロンボ


ピーターフォークは当時41歳。その後のコロンボ警部のトレードマークになる、レインコートもヨレヨレとまでは言えず、髪型もボサボサではないです。それでも後期の作品(新・刑事コロンボを含め)よりも、しっかりしたキャラクター性を感じられました。


少々冷酷に映ったか…


嫌気がさすような執拗な捜査、細かい矛盾を逃さない着眼点、さらには犯人を罠にかける「落とし」のテクニック。それらがふんだんに盛込まれています。少し冷酷な印象も残り、後の作品ではドジで人間臭い、愛されるキャラクターに傾いていったのかと思われます。

それでも見逃せないのがラストシーン…。ジョーンの供述をとろうとして、ポケットのペンを探すが見つからず、捜査員に借りている仕草が滑稽です。

→ コロンボはよく「筆記用具を忘れる」件

主犯と共犯の動機の温度差


その後のコロンボ作品にも数回採用されている「共犯モノ」、初回からそうだったのですね。共犯者の「口封じ」は各話とも重要なポイントになり、第二殺人の被害者になるケースも多いのですが、この「殺人処方箋」のコロンボは共犯者の弱さに目をつけ解決の切り札にしました。コロンボ警部の凄さは、「主犯」と「共犯」の「動機の温度差」を共犯者に示唆し、「主犯者に利用された」という背景を引き出していることです。

主犯のフレミングは共犯のジョーンに対し、ヘマしないように細心の注意を払っていますが、これは「二人の未来のための殺害計画」ではなく、実際に利を追求しているのはフレミングのみで、ジョーンは共犯者として選ばれただけだということを、見る側に伝えています。


普通の刑事ドラマではないですよ〜宣言


犯行後に、フレミングが電話の上に手袋を忘れそうで、忘れなかった演出。これは視聴者に「おっと、そんなに簡単にヒントは残しませんよ」と、語っています。また、コロンボ警部がジョーンを脅して落とそうとして「じゃ本部で供述をとりましょうね」の後、拒絶されるシーン。普通の刑事ドラマなら、これらが決め手になっちゃうところ「これくらいじゃ落ちませんよ」という、意気込みを感じました。

最初は強烈なほど「豪腕刑事」の素質があった


心が揺らぐ共犯者のジョーン・ハドソン(キャサリン・ジャスティス)に「あんたが殺したも同じだ」から「あんたを落としてあいつを逮捕する、これは約束します」の連続した台詞は、シリーズを通して最も語気を荒げたシーンの一つです。


コロンボ警部の刑事哲学が見えてくる


また第1話で既に、コロンボ警部の「刑事哲学」とも思える言葉を聞くことができました。それは「いくら犯人が頭が良かったとしても、殺人については素人である。しかし自分にとってコロシは仕事。たいへんな修練を積んでいるわけです…。」というもの。た、確かに。コロンボ警部の捜査手法はそうした経験に裏付けされた、「匂いを感じて動く」のような部分が大きいのです。

ずっと後の作品40話「殺しの序曲」で、オリバー・ブラントに語る場面や、44話「攻撃命令」での言葉遊びも似たような趣で興味深いです。

計画通りにはことが運ばない


この作品を何度も見返しますと、やはり「予期せぬことが起こる」ということを、細かく描いています。キャロルが死んでいなかった、ジョーンが頻繁に電話や訪問して来ちゃう、警部が約束より早く来るなど。その度に犯行がバレるかも…とハラハラします。

レイ・フレミングのマンションの風景は「絵」


レイ・フレミングのマンションの窓から見える風景は完璧に「絵」です。古い時代のテレビドラマや映画の笑えるワンシーンですね。フレミングが妻を殺害した後、窓ガラスを割って強盗の仕業に見せかけるシーンで、風景に自分の影が映っています。その他にもアカプルコの釣りのシーンも、もちろん海(背景)とガッツリ合成していますよね。

ジョーン・ハドソン邸は「スタール邸」


ジョーン・ハドソン邸は、有名な「スタール邸」で自称「大部屋女優」のハドソンさんにしては、とてつもない豪邸です。「スタール邸」はこの他にも「構想の死角」ケン・フランクリン邸「アリバイのダイヤル」のエリック・ワーグナー邸としても登場します。こちらは身分相応でしょうか(笑)

トミーの自供


トミーの自供は決定的なシーンではないが、場面転換としては効果的です。コロンボが本件の捜査から外されるまでの経緯として、気分が入れ替わって気持ちよいですね。
 
→刑事コロンボマップ:スタール邸
 
注:2話「死者の身代金」は1話と比較し、今後シリーズ化されたデザインかなりに近いものになっていますが、文字は白色でエクステンデッド・ブラック(横長で極太)書体ではありません。

監督:リチャード・アーヴィング
脚本:リチャード・レヴィンソン&ウィリアム・リンク

レイ・フレミング:ジーン・バリー
ジョーン・ハドソン:キャサリン・ジャスティス
キャロル・フレミング:ニナ・フォック

加筆:2015年10月3日
 
posted by ぼろんこ at 00:07 | Comment(57) | 初期作品(1話〜9話)

2010年03月01日

刑事コロンボ 2話「死者の身代金」

刑事コロンボ「死者の身代金」
Ransom for a Dead Man / 1971[2話]

女性弁護士レスリー・ウィリアムズが、夫(有名弁護士)のポール・ウィリアムズを殺害し、身代金目当ての誘拐に見せかけるお話。3話の「構想の死角」から本格的にシリーズ化する直前の作品と位置づけられます。タイトルクレジットは細く白色で、いわゆるコロンボ書体ではありません。

リー・グラントは怖(こわ)美しい


犯人役のゲストスター、レスリー役:リー・グラントは2作目にして初の女性犯人。当時44歳頃で、小柄な女性ですが強く美しく描かれています。特にウィリアムズの葬式での横顔が印象に残ります。


犯人レスリー・ウィリアムズ像


物語が進むにつれ「殺害動機」が分かってくる展開が面白かったですね。その過程で彼女の「強欲」「強権的」な性格も見えてきます。娘マーガレット(パトリシア・マチック)との会話はもちろん、失神の演技、法廷で強気の発言…など。著名な弁護士の夫に頼らなくても十分活躍できそうな女性なのでは?と感じさせます。

ロス警察を「この街の警察」と…


FBIの管轄になったことから、コロンボ警部も最初は遠慮がちに捜査に関わっていて、「矛盾に対する困惑」が延々と描かれます。「殺し」の捜査に移行した後は、水を得た魚のようにはしゃぎます。今回はFBIの登場ということで、ロス警察を「この街の警察」と表現していて面白いですね。

後の作品の元アイデアがちらり


ごく初期の作品なのですが、かなり「スッキリ」な仕上がりになっていてびっくりしました。脅迫電話のトリックをレスリーに実演してみせることも興味深いし、娘に一芝居打たせて、犯人を罠にハメるラストは25話「権力の墓穴」、録音テープを使ったトリックは26話「自縛の紐」の原形にも思われ、とても興味深いものです。

確立してゆく捜査スタイル


1話の「殺人処方箋」とこの2話「死者の身代金」で、コロンボの刑事としての捜査スタイルはすでに確立していて「うだつの上がらなそうな風貌を利用して相手を油断させる」「身内の話で手がかりのきっかけを作る」「実はかなりの腕利き刑事」などが見られます。ただ両話とも、コロンボ刑事が事件から外されそうになり、現実の世界でもありそうな展開。

コロンボのキャラクター設定


すでに「チリ好き」も楽しめますし、解決編も圧巻です。レスリーと一緒にセスナに乗るシーンは、大きな場面ですがそれほど重要ではなく、一見無駄に長く感じられます。これは勇敢な女性と頼りない男性を対比させ、コロンボのキャラクターを際立たせているのかな。

髪が伸びて、ぼさぼさ風に


1話「殺人処方箋」から約3年が経っての2作目です。ですので一気にお馴染みのコロンボの風貌が出来上がっています。髪は伸びでぼさぼさ、レインコートも少しよれよれ度を増します。さらに…スーツは今回からお馴染みの「明るい茶系」に変化し、温かみを感じます。殺人処方箋ではグレー系(ちょっと冷淡)でした。

ティモシー・ケリー


コロンボ警部が好物のチリを食べる「Barney's Beanery」の「バート」役のティモシー・ケリーは、その後の作品、4話「ホリスター将軍のコレクション」にも同じ役で登場します。38話「ルーサン警部の犯罪」はトニーで別人の役。


バーニーの店が初登場か?


「バーニーの店」として良いのかどうか疑問ですが、ティモシー・ケリー 出演の2作(2話と5話)のお店は違うようですね。この回ではビリヤード台の置いてある広いお店でした。コロンボのビリヤードシーンは今後もたびたび見られます。


ウィリアムズ弁護士事務所のビル


ウィリアムズ弁護士事務所は、7話「もう一つの鍵」のベス・チャドイック宣伝広告社のビルと同じです。また、裁判の開かれる「LOS ANGELES COUNTY COURTHOUSE」も同じ場所です。

グレープジュースはルートビア


空港のカフェでコロンボ警部が飲む「グレープジュース」は、葡萄色じゃないので変だな〜と思って英語で聞き直したら「ルートビア(root beer)」を注文していました。ノンアルコールの炭酸飲料だそうです。

お金を持っているのに払えない…


また同シーンで、3ドル50セントの飲み物代を支払うお金を持っておらず、警察手帳を見せながらサインをします。これは大金の札束(身代金)を手にしながら支払えない…という矛盾に加え、筆記用具も持っておらず、ウエイトレスに借りるという始末。こっけいなBGMも加わり、微笑ましい締めくくりです。

→ コロンボはよく「筆記用具を忘れる」件

*ウィキペディアでは「女性弁護士レスリー・ウィリアムス」としているが、2015年10月のBS-TBSの放送で「ウィリアムズ」とクレジットされていたため、そちらを採用しました。

監督:リチャード・アーヴィング
脚本:ディーン・ハーグローブ

レスリー・ウィリアムズ:リー・グラント
マーガレット:パトリシア・マティック
バート:ティモシー・ケリー
 
加筆:2015年10月5日
 
posted by ぼろんこ at 00:07 | Comment(20) | 初期作品(1話〜9話)

2010年02月07日

刑事コロンボ 3話「構想の死角」

刑事コロンボ「構想の死角」
Murder by the Book / 1971[第1シーズン 3話]

カメラワークやライティングがスピルバーグ的?


演出が若き日のスピルバーグ監督というのは有名ですね。絵作りという着眼点で見ると、他の作品と大きな違いを感じます。まずは、構図の大胆さです。俳優同士の顔がくっつきそうになる程、近くで会話していたり、女優の横顔のシルエットでその場面を深く印象づけたりしています。全体的に画面が暗めなのも特長だと思います。特に夜のシーンでは、不気味な程に室内を暗くし、手前の人物の影が話し相手に重なって不気味な効果を出しています。

作家ケン・フランクリンの怪


犯人の作家ケン・フランクリン(ジャック・キャシディ)が共著の相棒作家、ジム・フェリスを殺害。動機は、ジムがケンとのコンビ解消を言い出したことにあります。実はケンは小説が全く書けないのです。


これまでに発表した人気小説「メルビル夫人」シリーズは、すべてがジムによる作品だというのです。私はものを創る立場なので、このような生き方は理解し難いですね。それにしてもよく今までコンビが継続したものだと。ケンは、コンビを解消すると、収入源を失うとともに「小説が書けないこと」が世間にばれます。どちらかが死んだ場合に、多額の生命保険が受け取れるようにしていたことも殺害の大きな動機です。

ウソが本当に思えてくる


この事件の背景には「ウソをつき続けていると、そのうち本当になってしまう」という教訓が見えてきました。ケンは主に、インタビューやPRを引き受け、賞賛を浴びているうちに、いつしか「自分が本物の作家である」と思ってしまうようになったのではないでしょうか。

決着の付け方としては「スカっとした切れ味」ではなかった気がします。それでも印象に残る作品のひとつです。コロンボから第二殺人のお粗末さを指摘されたケンは、第一殺人の優れたアイデアも自分によるものであると主張し、ひきかえに罪を認めまました。小説が書けない作家を演じ続けるより、1作でも優れた小説を書く努力をすべきだった。

ちなみに次作の4話「指輪の爪あと」では、明瞭な「コロンボの罠」によりスッキリ解決しています。構想の死角のゲスト俳優ジャック・キャシディは、22話「第三の終章」36話「魔術師の幻想」でも犯人役を演じていて、刑事コロンボシリーズでロバート・カルプと並ぶ最重要人物の一人です。

バーバラ・コルビーは迫真の演技


第二殺人の被害者ラサンカ夫人(バーバラ・コルビー)は迫真の演技でした。この後のコロンボ作品にも、犯行を見破る→恐喝→殺される という人が多く出て来ます。やはり金は人生を豊かにするものと考えてしまうのでしょうね。それが命取りでした。


ケン・フランクリン邸は「スタール邸」


ケン・フランクリン邸は、有名な「スタール邸」で、この他にも「殺人処方箋」ジョーン・ハドソン邸「アリバイのダイヤル」のエリック・ワーグナー邸としても登場します。
→刑事コロンボマップ:スタール邸

刑事コロンボマップ


その他にもネットで調べましたら「構想の死角」のロケ現場らしき場所のヒントがありました。英語のサイトを参照していますので、真偽ははかりかねますが…。
→刑事コロンボマップ:ケン・フランクリンの湖の別荘
→刑事コロンボマップ:ケンとジムの事務所
 
 
監督:スティーブン・スピルバーグ
脚本:スティーブン・ボチコ

ケン・フランクリン:ジャック・キャシディ
リリー・ラ・サンカ:バーバラ・コルビー
ジム・フェリス:マーティン・ミルナー
妻ジョアンナ:ローズマリー・フォーサイス

加筆:2013年10月08日
 
posted by ぼろんこ at 16:28 | Comment(23) | 初期作品(1話〜9話)

2010年02月06日

刑事コロンボ 4話「指輪の爪あと」

刑事コロンボ「指輪の爪あと」
Death Lends a Hand / 1971[第1シーズン 4話]

刑事コロンボらしさが確立した初期の傑作「指輪の爪あと」


作品として素晴らしいです。成功を収めた探偵社の社長ブリマー「ロバート・カルプ」のキャラクターも印象的。成功者が調子に乗りすぎて足を踏み外して一気に転落するというシナリオも、コロンボ作品らしくて好きです。「計画殺人ではない」という点ではイレギュラー的な展開を見せます。

コロンボ警部も負けていませんでした。


同業者による犯罪のエピソードは他にも例がありますが、今回は成功をおさめた探偵です。一見してコロンボ警部を見下し、小馬鹿にするブリマーに対し「この手相は成功しそうでいて、失敗しそうな性格」と、言い返す場面は見逃せません。

二つの目で別の場面を描写


殺人シーンから隠蔽作業の表現で、犯人役ロバート・カルプのサングラスの映り込みを利用したのは、とても面白いです。左右の目で別々の場面を映し出し、スリリングに仕上げています。

ちなみに6話「二枚のドガの絵」では犯行シーンで「ガ〜ン、ガ〜ン」みたいな音楽とともに画面が揺れていました。(笑)

ロバート・カルプの憎まれ役は最高


俳優ロバート・カルプは他のコロンボ作品でも見ることができますが、この「指輪の爪あと」のブリマー氏の「傲慢」「短気」「高圧的」「インテリ肌」は格別です。特に短気な性格は、ストーリーのいろいろな場所で効果的に描写されています。

相手の弱みにつけ込んだことが、自分の命取りになる…。


選挙に有力な情報を教えろとブリマーに脅迫されたケニカット夫人が、開き直ってブリマーを脅迫仕返すのはグッドな設定です。「それだけはいけません、奥さん」「探偵事務所をここまでに築き上げるのにどれほど苦労をしたか…」というブリマーの本音が出ていました。

3話の「構想の死角」では「脅迫された相手を殺してしまう」のですが、この作品では、その逆展開をやっています。夫婦関係は一つや二つの失敗で壊れないもの、自分は正直にすべてを主人に話す…と開き直られて逆上して殺害に及ぶのです。しかしよく考えてみると、これは「殺人」ではなく「過失致死」でしょうか?「殺す気はなかった…」と言っていますしね。

相手の破滅と引き換えに利益を得ようとする発想は、自分にも最大のリスクを発生させるという教訓を感じます。今回ケニカット夫人は利益ではなく復讐の意図でブリマーに逆襲しますが、相手に逃げ道を示すことを考えつけば、命は落とさなかったことでしょう。

犯人の追いつめるコロンボ


最後は犯人に罠をしかけるパターンで解決を迎えますが、その過程で徐々に犯人を精神的に追いつめて行く手法も見逃せないですね。その中でも、コロンボに示唆され「自宅でコンタクトレンズを探している」シーンはこっけいです。台詞にはありませんが「そうか、クルマの中だ!」と気付いて、修理工場に忍び込むのですが、全てコロンボ警部の「シナリオ通りに動かされている」というわけでした。

原題の「death lends a hand」は乱暴な直訳で「死は手伝います」。最初はピンと来ない気がしましたが、ブリマーが事件捜査に手を貸す振りをしてコロンボに接近したことや、決め手となった「コンタクトレンズ(Lens)」をひっかけたものと思われ、興味深いものだと思えます。

レイ・ミランド


殺害されたレノア・ケニカットのご主人アーサーはレイ・ミランド[Ray Milland]で後の11話「悪の温室」で犯人のジャービス・グッドウィンを好演する名優です。


ロサンゼルスマップ


犯人の「ブリマー邸」はビーチに面している設定です。これは、ロサンゼルス西部のマリブビーチだと思われます。この近所には、なんと自縛の紐の「マイロ・ジャナス」も住んでいました。また「ケニカット」氏はビバリーヒルズの北、すこし小高い丘に住んでいます。とても眺めが良さそうですね。

監督:バーナード・L・コワルスキー
脚本:リチャード・レビンソン/ウィリアム・リンク

ブリマー所長:ロバート・カルプ
アーサー・ケニカット:レイ・ミランド
ケニカット夫人:パトリシア・クローリー
ケン・アーチャー:ブルット・ホールジー

*犯人のブリマーはファーストネームが不明です。これは全69作中、36話「魔術師の幻想」の「グレート(偉大なる)・サンティーニ」と二人のみ。

2009年にNHK BS2(当時)で再放送されたシリーズで、本作品と再会しました。その頃は、1話より順に放送されていなかった記憶があります。
加筆:2012年6月4日にAXNミステリーで再放送されました。それを見ながら書いています。

3年ぶりに本作品を見て、印象が多少変わりました


まず第一に、ブリマー氏は当時感じたほど「高圧的」ではありませんでした。その後の作品「権力の墓穴:ハルプリン次長」「4時02分の銃声:フィールディング・チェイス」などの豪傑を見ましたので(笑)。ブリマー氏は「威張り腐っている」感じより、むしろ「自分をやや謙遜しつつ」「猫なで声ですり寄ってきて」「相手の隙を狙っている」ように映りました。

またブリマーは、ケニカット氏への体面上ではコロンボ警部を小馬鹿にしていますが、実は会う前から警部を「切れ者」だと気付いています。警察署長にコロンボについて下調べをしているのです。初対面の時も「ゴルフバッグ」を発見され先制パンチを喰らいました。

本当に隙・無駄の無い作品


○白バイに停められるシーンでの会話→免許の書き換え
○出口を間違える→ゴルフバッグの発見
○客の秘密を喋りそうな部下を激怒→関係した部下を外す・短気な性格を引き出す
○犯人の逮捕をほのめかす→自動車修理工場へ出向かせる
など、すべてのシーン・台詞がストーリー展開に重要な役割を果たしていて、展開も速く非常にスリリングです。またメガネの映り込みのシーンは、思ったよりも長めで、証拠を隠滅する作業の時間経過と、人を殺してしまったという後悔の気持ちや不安な感情を、台詞無しで表現しているものです。指紋を拭き取る動作など、かなりテキパキしていますし、その反面表情は複雑です。
 

クライマックスも見事


ピアノで「ガーン」「ガーン」「ガーン」と打ち鳴らし緊張感をあおる。そしてパッと真っ白に照らすヘッドライト。証拠を捨てようとする瞬間を捕らえる。観念したブリマーが犯行を認めて謝る。ケニカットとの会話で仕掛けた罠を明かす。ユーモアたっぷりのエンディング。素晴らしかったです。

受領書をもらう際に筆記用具を忘れている


ブリマーが左利きであることに気づくシーンで、得意技である「筆記用具を忘れる」が出ていました。
 
→ コロンボはよく「筆記用具を忘れる」件
 
加筆:2015年10月6日
 
posted by ぼろんこ at 21:04 | Comment(22) | 初期作品(1話〜9話)

2010年02月05日

刑事コロンボ 5話「ホリスター将軍のコレクション」

刑事コロンボ「ホリスター将軍のコレクション」
Dead Weight / 1971[第1シーズン 5話]

マーチン・J・ホリスター元将軍(エディ・アルバート)は、不正を働くパートナーである現役軍人ダットン大佐を殺害。私が子供だった頃、この作品を確かに見ました。ヨットハーバー付近が舞台になっている作品で記憶に深く残っていました。

ホリスター将軍のヨットハーバー


将軍の船に「THE IRON HORSEMAN NEW PORT」と書いてあります。おそらくロサンゼルスの南に位置する「ニューポートビーチ」が「ホリスター将軍」の家ではないかと思われます。間違っているかもしれません、鵜呑みにしないでください。
→ホリスター将軍のヨットハーバー

初期の作品としては少し不人気


私が傑作だと推薦する4話「指輪の爪あと」と6話「二枚のドガの絵」に挟まれ、少々不人気な印象の作品です。犯行の目撃者が犯人の味方になってしまうという、凝ったストーリーです。やはりシンプルな展開の方が、かえって優れた作品になるのでしょうか。


実はこの「ホリスター元将軍」は「大悪人」でした。現役軍人ダットン大佐と共謀し不正取り引きで私腹を肥やし、悪事を隠すためにはためらうこと無く大佐を射殺。殺人現場の目撃者ヘレンに接近・誘惑し味方に引き入れるという「卑怯・卑劣のオンパレード」です。

このように戦争において「英雄になれる人物像」とは、決して潔く誠実なものではない。エンディングでコロンボ警部がヘレンに言い聞かせる「将軍がいかなる人物かよく表している物」…見せるための軍服、弾丸を受け止めた本、とてもよく理解できますね。

事件の目撃者ヘレン


ヘレン・スチュワート役のスザンヌ・プレシェットは、とても可愛らしい女性に描かれていました。ホリスター元将軍のことを最後に「カス」呼ばわりしていた場面は、ほのかな笑いを呼ぶシーンでした。

日本語吹き替えは久松保夫さん


ちなみにホリスター将軍(エディ・アルバート)の日本語吹き替えは「久松保夫」さんで、スタートレック(宇宙大作戦)のMr.スポックの声でもお馴染み。でも、Mr.スポックのレナード・ニモイが刑事コロンボ15話「溶ける糸」に出演の際にメイフィールド医師を天田俊明さんが担当した理由は不明(今後調べてみます)。

真珠を散りばめたコルト拳銃


ブログゲストさんから「将軍愛用の真珠を散りばめたピストルが、いつ陳列されたか?」という疑問が寄せられました。ダットン大佐を殺害する時は確かに、木箱から取り出しました。いつ展示室に持ち込んだかは、場面を見るだけでは断定できないようです。大切な「本」も木箱に無かったので、祝典当日に自分で持ち込んだのかな?凶器なので…捨ててしまうか…迷ったか。

木箱の中に無かったことがヒントになってしまう


コロンボが木箱の中味を確かめた際、確かに真珠の拳銃は入っていませんでした。このことが逆に「凶器がこの拳銃である」というヒントになってしまう。45口径であれば大佐殺害の銃である可能性が高いことに、もっと早い段階で気づくのでは?と疑問は残ります。コロンボは既に展示室に足を運んでいるはずですし。

それにしてもやはり、将軍はこの銃を海にでも捨てるべきだった。誇りたいはずの名誉の品だけど、結局はそれが命取りでした。

軍人を扱ったコロンボ作品


戦争の国アメリカ(と表現すると失礼でしょうか?)ならではの題材だと感じます。刑事コロンボには他にも数作品で、犯人役が軍人または軍事関連の作品がありますね。この作品に関してはその色は薄く「過去の栄光」としての「英雄・将軍」を描いています。後の作品28話「祝砲の挽歌」のラムフォード大佐、49話「迷子の兵隊」のパジェット将軍にもこのイメージは通じます。

ヴァル・アヴェリー


帽子とサングラスを着用していて気付きにくいのですが、犯行を目撃するヨットハーバーで「貸ヨット屋のオヤジ」を演じるのはヴァル・アヴェリー。12話「アリバイのダイヤル」で盗聴器を仕掛けた探偵:ダブス、25話「権力の墓穴」では重要人物:前科者のアーティ、さらには34話「仮面の男」でローウィーを演じています。

監督:ジャック・スマイト
脚本:ジョン・デュガン

マーチン・J・ホリスター:エディ・アルバート
ヘレン・スチュワート:スザンヌ・プレシェット
ロジャー・ダットン:ジョン・カー
ハリー・バーンズ:ヴァル・アヴェリー
バート:ティモシー・ケリー
加筆:2015年10月8日
 
posted by ぼろんこ at 23:00 | Comment(23) | 初期作品(1話〜9話)

2010年02月04日

刑事コロンボ 6話「二枚のドガの絵」

刑事コロンボ「二枚のドガの絵」
Suitable for Framing / 1971[第1シーズン 6話]

ぼろんこの考える「傑作コロンボ作品:二枚のドガの絵」


何の前振りも無く、犯人の美術評論家デイル・キングストンが、ピアノ越しに叔父マシューズ氏をズドンと一発やった時には、やはり初期のコロンボは凄いと感じました。徐々に見えてくる殺害動機や犯人デイル・キングストンの人間像。言動などから卑屈な性格も見え隠れします。最初から「誰に濡れ衣を着せる」つもりで犯行を計画した‥などなど、良く練られた素晴らしいシナリオです。この「二枚のドガの絵」は私の好きな作品のトップランクです。

犯人の誘いに乗って、最大のチャンスをモノにする。


コロンボ警部はデイルから自宅の鍵を渡された時が最大のチャンスだと見切っていました。その時のデイル宅には、全く証拠が無いとデイル自身が教えているようなものです。しかも、コロンボが捜査した直後が、絵を持ち帰るもっとも安全なタイミングであると考えたのでしょう。しかし、コロンボ警部が部屋で寝ていたのは誤算でした。それにしても…デイルはうかつでした…トレーシー殺害後、絵をもう一度「包装紙にくるんで」持ち帰るべきだったですね。

→デイル・キングストンの家

犯人が自分から行動を起こすように誘導。


真犯人デイルは叔母のエドナを犯人に仕立てます。相続人が被相続人を殺害した場合、相続権が自分に移るためです。そのためエドナが逮捕されないと、犯行が完成しません。それに目を付けたコロンボはデイルに「絵が出てくるまで、積極的に動くのをやめよう。」と、事件解決を長引かせる提案をします。それでは困るデイルは、急いで行動を起こすのです。

ラストシーンは圧巻です。


コロンボ警部はエドナの屋敷に登場する場面から、ずっとポケットに両手を突っ込んでいますね。しかも、犯人をトン死状態に追い込む会話術(指紋の割出しのくだり)も抜群です。そして、手を広げてみせるあの顔とポーズ。ピーターフォーク以外の俳優では決まらない、まさに完璧なラストです。俯瞰(ふかん)気味の静止画もきれいでしたね。

ちょっとした疑問、意味の無い行動?


作品冒頭の殺害現場を演出する場面では、デイル・キングストンは飾られた絵画や家具を荒らしますが、これは全く意味のない行動だと思いませんか?絵画を盗難する行為と結びつきませんし、あんなことをすれば物音がするので誰かに気付かれる危険が非常に高くなります。殺害時間帯に「近辺に誰もいない」ことを確認済みであったとしても、理解に苦しみますね。ましてやエドナを真犯人に想定しているのであれば…言うまでもありませんね。

ロス・マーティンの演技力に乾杯!


ゲスト俳優ロス・マーティンの演技、台詞、表情が抜群です!特に無名画家のパーティに呼ばれ、ご婦人方に囲まれて「人間万歳!」とはしゃぐ場面や、コロンボ警部の執拗な捜査にいら立ち「おまわり」呼ばわりで激怒する場面は良いですね〜。


デイル・キングストンという人物。


デイルは美術評論家として成功をおさめますが、少し屈折した性格に描かれています。あまり幸せな幼少期を過ごしていない設定で、言葉遣いや素行は決して上品ではありません。業界でも煙たがられていました。

犯人の心理をよく表現している


「コロンボを敵視する」「記憶力が良い」「説明が上手」
デイルはこの3点を備え持っていました。自分にやましい部分がなければ必要以上にコロンボを敵視しません。人の記憶は曖昧で時間の経緯などをなかなか覚えていないもの。自分に容疑がかからない方向の状況説明をぺらぺらとしゃべること。これらは全ては、コロンボが容疑を深める行動なのです。

コロンボ警部はそんなデイルに対し、ラストシーンで「キミ」と呼んでいます。おろかな濡れ衣工作に奔走したデイル。すべてお見通しのコロンボ。二人のパワーバランスが完全に逆転している表現です。

特殊メイクなしでも、魅力的な演技。


ところでこの作品に出てくるエドナ夫人、猿の惑星に出演しているチンパンジーのジーラに似ている気がしてました。と思って、インターネットで調べたら、本当にそうでした。顔の輪郭や仕草がそっくりだったので、もしやと思ったらズバリ!

エドナ夫人を演じた女優は「キム・ハンター」。この後の作品、8話「死の方程式」にはコーネリアスやシーザーを演じた俳優「ロディ・マクドウォール」やアーサス将軍役の「ジェームズ・グレゴリー」も出演しています。

ロザンナ・ホフマン


犯行現場に遅れてきて「誰にも見られなかったか」念を押された共犯の美人美術学校生トレーシー・オコーナー(ロザンナ・ホフマン)の返事「モチよ!」は最高、完全に死語ですよね。


愛川マキを連想するのは…どうか?


トレーシー・オコーナーのキャラクターが、なぜか漫画「エースを狙え」の愛川マキに似ているのでは?と連想してしまうのは、ぼろんこだけでしょうか…。


場面転換にナイスプレー


殺害計画の中に「自分の口封じ」も含まれているとは気づかないトレーシー・オコーナーは、マリブ山中で殺されてしまいます。その殺害シーンは、岩を持って襲いかかるデイルに恐怖する彼女の表情から、「キャ〜」という絶叫もに聞こえる「(デイルが帰宅する)クルマのタイヤ音」で場面転換しています。見事な手法ですね〜。

ドン・アメチー


マシューズ氏の顧問弁護士の紳士(ドン・アメチー)も良かったです。18話「毒のある花」のラング社長役の「ビンセント・プライス」と雰囲気が似ていますね。


原題は「フレーミングにふさわしい」


原題の「Suitable for Framing 」は直訳「フレーミングにふさわしい」ですが、エキサイト翻訳では「二枚のドガの絵」と出ました。凄いですね、コロンボの作品名が辞書登録されているようです。他にもこのような例が多くありました。

ロス・マーティンとピーターフォーク


ロス・マーティンはポーランド出身の舞台俳優で1920年生まれ。ピーター・フォーク(1927年生まれ)よりも7歳年上でかつてはピーターフォークの演技の師匠であったそうです。16話「断たれた音」のローレンス・ハーヴェイが監督・主演の映画「脱走計画」にも出演したそうです。その他、警部マクロードやチャーリーズ・エンジェルにも出ているようです。

ドガについて勉強しよう


エドガー・ドガ(Edgar Degas:1834-1917)はフランスの印象派の画家、彫刻家。本作の題材は踊り子のパステル画でドガの得意分野とされます。いわゆる「二枚のドガの絵」は、どこで見ることができるか?現在調査中です(笑)

 
監督:ハイ・アヴァーバック
脚本:ジャクソン・ギリス

デイル・キングストン:ロス・マーティン
エドナ夫人:キム・ハンター
トレーシー・オコーナー:ロザンナ・ホフマン
顧問弁護士:ドン・アメチー

加筆:2015年11月28日 
 
posted by ぼろんこ at 18:39 | Comment(20) | 初期作品(1話〜9話)

2010年02月03日

刑事コロンボ 7話「もう一つの鍵」

刑事コロンボ「もう一つの鍵」
Lady in Waiting / 1971[第1シーズン 7話]

高圧的な兄を殺害する妹。という恐ろしいシナリオ。被害者は広告代理店の社長にして大富豪のブライス・チャドウィック。犯人はその妹のベス・チャドウィック(スーザン・クラーク)。前半のシーンでは、このベスが、それほど「悪人」とは感じさせない。質素で美しい女性だと感じ、悪人はむしろ兄のブライスではないかと錯覚します。

ベス・チャドウィックが美しく(実は醜く)変貌してゆく



その印象が逆転するのは、事件を知って駆けつけた二人の母親がベスをひっぱたくシーンだと感じました。この時の彼女(スーザン・クラーク)のいでたちが、本編で最高に美しく表現されているように見えました。私が質素な女性を好むというだけなのかも知れませんが…。

独裁者(兄)が不在になった後のベスは、派手な洋服を買いあさったり、スポーツカーを手に入れたり、あげくに会社社長の座について、経営権を我がものにしようと企みます。それに比例するように、彼女は醜くなってゆくように描かれています。

もう一度最初から見返せば、なるほど冒頭近くに庭で朝食を食べるシーンでも、どこか歪んだ心をもった女性の表情が見え隠れしてますね。

時代性を感じる映像処理


意外な展開となったのは「画面が揺れているような描写」のシーンで、最初に見た時には「睡眠薬か麻薬かで、精神が普通でない表現」なのかと、勘違いしました。実際には「こうなる予定」を表現していたのでしょうね。初期の作品(特に第1シーズンまで)には、このような「頑張った映像処理」が多く登場します。テレビドラマの特殊効果に限界のあった時代の産物でしょう。

決め手はピーターの記憶力…ではなくベスの性格?


事件解決シーンでは「婚約者のピーターが、犯行の時の鮮明な記憶を語った」こととなりますが、実際には犯人特定の証拠とは言いきれず、その後のベスの行動「コロンボを銃で撃ってしまえ」というアクションが決め手となりました。これもベスの性格を見抜いたコロンボの切り札だったと言えます。

これがひっかかるんです、ピーター の人間像。


ひとつ腑に落ちないのは、婚約者のピーターがそれほど「野心家」に描かれていないという点。むしろ正直で不正を好まない人物だった気がします。逆に妹のベスはかなりの野心家で、兄の殺害は婚約を反対されていることが動機ではなく、地位と富を一気に手に入れ、派手に暮らしたいという願望が強かったことがわかります。今となっては遅いのですが、彼女がピーターと結婚していれば、夫が妻を上手く操縦できたような気も…。

この婚約者ピーター・ハミルトンは、後の作品34話「仮面の男」でジェロニモとしても登場する「レスリー・ニールセン」です。

フレッド・ドレイパーを見逃すな


チャドウィック家のお母上が到着する場面に出てくるタクシーの運転手は、お馴染みの「フレッド・ドレイパー」です。コロンボを家の召使いと決めつけて代金を請求し、おつりを持っていないと「新米だね」と、さらに見下すのは、笑えました。

チャドイック宣伝広告社のビル


チャドイック宣伝広告社は、2話「死者の身代金」のレスリー・ウィリアムズの弁護士事務所のビルと同じです。また、裁判の開かれる「LOS ANGELES COUNTY COURTHOUSE」も同じ場所です。


その他、ちょい役でお馴染みの俳優さんが…


広告代理店の会議室で、ベスに逆らってクビになりそうになる重役は、38話「ルーサン警部の犯罪」でもテレビ局の撮影所所長として出てくる「フランク・エメット・バクスター」です。

また、美容室の受付係はバーバラ・ローデスで、後の34話「仮面の男」遊園地の女性カメラマン「ジョイス」を演じます。

監督:ノーマン・ロイド
脚本:スティーブン・ボチコ

ベス・チャドウィック:スーザン・クラーク
ピーター・ハミルトン:レスリー・ニールセン
ブライス・チャドウィックリチャード・アンダーソン
チャドウィック夫人:ジェシー・ロイス・ランディス

加筆:2014年6月16日
  
 
posted by ぼろんこ at 00:00 | Comment(25) | 初期作品(1話〜9話)

2010年02月02日

刑事コロンボ 8話「死の方程式」

刑事コロンボ「死の方程式」
Short Fuse 1971[第1シーズン 8話]

スタンフォード化学工業の御曹司ロジャー・スタンフォードが、叔父であり社長のバックナー氏を殺害。バックナー社長は素行に問題がある甥のロジャーを、会社役員の座から降ろし社外に追放しようと考えていて、それを阻止するために、犯行に及びました。その他にも、バックナーが父親の築いた会社を売却する意思があったことも動機となりますが、それ以前に自分が会社から追い出される危険があるので、第一の動機は前者と考えました。

→スタンフォード化学工業のある場所?

爆死という壮絶な殺害手段


殺害方法は、自分の得意分野である「自家製爆弾」による爆死。バックナー社長が大雨の中で山道を移動する最中に起きたので、事故による二次的な爆発と思わせる作戦ですが、普通に考えれば路上での爆発と激突後の爆発では、その違いがわかるはずですよね。

犯人は「お馬鹿ちゃんキャラ」


動機や殺害状況など何れもロジャーを容疑者として、話が分かり易く進展しています。犯人が少々「お馬鹿ちゃんキャラ」な設定で、ちょっと騒がし過ぎかな〜とも感じますが、時々見せるシリアスな表情が際立ちました。一説によるとお馬鹿な振りをしているだけなのかも…知れません。
 

その他のコロンボ作品にも出演する俳優を含め、豪華な顔ぶれ!


面白いので出演者を色々調べてみると…。

犯人役のロジャー・スタンフォード


俳優:ロディ・マクドウォールは、映画「猿の惑星シリーズ」の猿役:コーネリアスやシーザーを演じている有名な俳優さんです。猿の惑星は私も大好きで、シリーズ全作品を見ています。俳優ロディ・マクドウォールは大好きです。

被害者のバックナー社長


俳優:ジェームズ・グレゴリーは12話「アリバイのダイヤル」のコーチ役。しかも、映画「続 猿の惑星」のアーサス将軍役でも活躍したようです。とても好きな俳優さんです。

ロジャー・スタンフォードの秘書ビショップ


女優:アン・フランシスはこの後、15話「溶ける糸」で犯行に気付いてメイフィールド医師に殺される、手術助手のシャロン役でも出演します。とても印象に残る素敵な女優さんです。

ロジャー・スタンフォードの叔母


女優:アイダ・ルピノは、24話「白鳥の歌」で犯人ジョニー・キャッシュに殺害される妻エドナ役。ちなみに日本語の吹き替えは「麻生美代子」さんでサザエさんの母さん「フネ」の声でもお馴染みの声優さん。

クビになりかけたローガン副社長


俳優:ウィリアム・ウィンダムは、1話「殺人処方箋」に出演しています。病院で紹介される犯人レイ・フレミングの友人です。テレビ「スタートレック:宇宙大作戦」の第35話でデッカー准将を演じ、映画「新・猿の惑星」にも出演。→ロープウェイのロケ現場

 
という、ま〜なんと奥の深いというか世間が狭いというかの豪華キャストでした〜。

6話「二枚のドガの絵」に映画「猿の惑星」シリーズの猿:ジーラを演じたキム・ハンターが出演していることからも、人気俳優は引っ張りだこだったということなのでしょうね。


短い導火線


ブログへのコメントを頂きました。原題の「Short Fuse」は「短い導火線=短気」のようなニュアンスだとのこと。「死の方程式」も良く出来た邦題ですが、「短い導火線」は、まさに犯人像とぴったりですね!

ロディ・マクドウォールの吹き替え


ロディ・マクドウォールの日本語版の声優は野沢那智さん。アラン・ドロン、アル・パチーノなど数々の有名俳優の声を担当されました。新コロンボ作品の46話「汚れた超能力」でも犯人のエリオット・ブレイクを担当されています。

ちなみに猿の惑星の「コーネリアス」は宇宙戦艦ヤマトの古代進役「富山敬」さん、ルパン三世で有名な「山田康雄」さんなどが担当したようです。

バックナーの屋敷で「お晩です」


バックナーの屋敷の運転手クインシーの部屋の外でこそこそ工作をするロジャーに、コロンボが「お晩です」と声をかけたのが面白い。「お晩です」という言葉!

監督:エドワード・エイブラムス
脚本:ジャクソン・ギリス

ロジャー・スタンフォード:ロディ・マクドウォール
秘書ビショップ:アン・フランシス
バックナー夫人:アイダ・ルピノ
バックナー社長:ジェームズ・グレゴリー
ローガン副社長:ウィリアム・ウィンダム

加筆:2015年10月19日
 
posted by ぼろんこ at 20:30 | Comment(20) | 初期作品(1話〜9話)

2010年02月01日

刑事コロンボ 9話「パイルD-3の壁」

刑事コロンボ「パイルD-3の壁」
Blueprint for Murder / 1972[第1シーズン 9話]

私は小学生の頃に初めて刑事コロンボシリーズを見て、それ以来のコロンボファンなのだが、第1シーズンの中で最も記憶に残っていたのがこのパイルD-3の壁。建築家のエリオット・マーカム(パトリック・オニール)が出資者のウィリアムソン氏を殺害し、しかも「死んだように見せない」要するに「生存しているが行方不明」に見せるというお話。

 
→エリオット・マーカムの事務所
 

大胆な死体遺棄計画


原題の「Blueprint for Murder」にはパイルという単語が入っておらず、ぼろんこ風に訳すと「殺人の青写真」といった感じ。邦題「パイルD-3の壁」は一見、殺害のトリックを題名にしてしまっている気がするが、むしろそれよりも最後にコロンボ警部が語った「一度捜査された場所に、遺体を隠そうとした」という、犯人エリオット・マーカムの「恐るべき大胆な死体遺棄計画」が見どころだったのでしょう。

緊張感の漂う掘り起こしシーン


工事現場でパイルを掘り起こすシーンでコロンボ警部が缶コーヒーのようなものを飲み干す場面には、リアルさを感じます。しかし、マーカムの言動から死体遺棄計画を察知したコロンボ警部は、その作戦に乗じた形で一度パイルを掘り起こし、まんまと罠にかかった「演技をしていた」というのです。それを承知でもう一度見てみると面白いです。
→工事現場だと思われる場所

わかりやすい手掛かりが…


今回は、割と分かりやすい「容疑者特定」のヒントもあります。ウィリアムソンシティの一件で、建築家マーカムと出資者ウィリアムソンの仲が抜き差しならぬ状況だった証人が複数存在します。カーラジオの不思議を発見したことは、コロンボ警部ならではの観察眼ですが、殺人(死体遺棄)行為の最中、被害者の車のカーラジオを自分の好きな音楽にチューニングし直すことは不自然で、視聴者にわかりやすくストーリー展開させるために必要だったと想像できます。

無駄だとは思わせないシーン


また、遺体移送中の車が高速道路でパンクし、白バイ警官にトランクを開けられそうになり困る場面は、ラストの解決シーンに向かう中では無意味にも感じますが、犯人の「あとは遺体を捜査後のパイルに埋め直せばすべて終わる…」という、最後の大仕事を前にした心情を描いているのでしょう。

犯人を捕獲するエンディングは見事


ラストシーンは圧巻です。「指輪の爪あと」「白鳥の歌」でも同じ手法です。暗い中で犯人が決定的な行動を起こす最中に、スポットライト(車のヘッドライト)などが突然照射され、獲物を捕らえるというもの。この効果は絶大で、度肝を抜かれた犯人は、潔く観念します。(指輪の爪あとのブリマーは、それでも抵抗しようと試みましたが…)

建築局では待たされたあげく…


建築局で待たされるシーンはとてもユニーク。技術課ではさらに長い行列がでいていて。その果てにお昼休み。少ない台詞で淡々と描かれますが、楽しいです。
 

ジャニス・ペイジ


被害者ウィリアムソン氏(フォレスト・タッカー)の前妻ゴールディ役のジャニス・ペイジはとても印象に残りました。犯人エリオット・マーカム役のパトリック・オニールは、43作「秒読みの殺人」にもフラナガン役で出演しています。


パメラ・オースティン


若い奥様役はパメラ・オースティン(当時31才)で、ジャニス・ペイジ(当時50才)と比べると確かに若い。それでもペイジは50才にしては若く見えますね。


ジョン・フィネガン


現場監督のカール(赤いヘルメット)はジョン・フィネガンで、ダフィー警部や新シリーズのバーニーの店オーナーなども演じる名脇役です。
 

エリオット・マーカムが聴いていたクラシック音楽


マーカムの事務所で血染めの帽子について思案する場面では、ブラームスのピアノ協奏曲第2番を聴いていました。特に第2楽章が印象的。その他、モーツァルトのピアノ四重奏曲第1番-第1楽章、ベートーベンの弦楽四重奏曲第1番-第1楽章も使用されているらしいです。これらは今後確認します。
 
監督:ピーター・フォーク
脚本:スティーブン・ボチコ

エリオット・マーカム:パトリック・オニール
ウィリアムソン:フォレスト・タッカー
前妻ゴールディ:ジャニス・ペイジ
妻ジェニファー:パメラ・オースティン
カール:ジョン・フィネガン
 
加筆:2015年3月9日 
 
posted by ぼろんこ at 18:42 | Comment(22) | 初期作品(1話〜9話)

どうぞ悪戯の書き込みはお控えください。
私の大切なものを壊さないでください。あなたにも、私にも大切なものがあるのです。
I ask foreigners.
Please do not write a comment. Please do not break my important thing.
I think that you can understand. I appreciate your self-control.

筆者ぼろんこが1970年代にNHKの総合テレビで刑事コロンボに出会った頃は小学生でした。それから30数年後の2009年にNHK BSで再会した時、その素晴らしさにあらためて感銘し、自分なりの解釈をブログに書きためるようになったのでした。